連日、当院にはアトピー性皮膚炎の患者さんが初診されます。どこでどう当院を認知されるのか分かりませんが、小児科や他科に通っていた経過の長い患者さんもいらっしゃいます。医療機関を2~5件回っている患者さんもおり、こんな時は、是非とも“期待”に応えなければならないと、つい力が入ってしまいます(笑)。
ほぼ典型的な症状なのに、アレルギー検査が陰性だという理由で、アトピーと診断されていないケースもあります。これは以前もお話しした通り、まず慢性に経過する典型的な症状があれば、検査結果は大して重要ではないはずなのですが…。患者さんもアトピーだと思っているのに、重度の乾燥肌と診断されていることもあり、根拠を述べて“診断”すると逆にホッとした顔をされることもあります。
アトピー性皮膚炎の診療で大切なのは、まず的確な「診断」ですが、それを納得して頂いてから「治療」の話に移ります。ごく一部の軽症例を除き、皮膚の“炎症”を抑える薬を選択することになります。それが「ステロイド」な訳です。何と言っても医師が「ステロイド」のことを熟知して、使いこなせなければなりません。
私はこれまで、「アトピー性皮膚炎」にこだわって診療してきました。20~30分の説明は当たり前。ステロイドの歴史から、社会問題になるきっかけ、どのように経過して現在に至るか、などまで説明していました。しかし、10年近く前は社会問題にもなった薬です。今でもお母さんの間でも、いい噂は聞かないと思います。知り合いが「怖い薬だと言っていた」なんてご意見に、“反論”して、キチンと納得して頂かなければなりません。熱意をもって説明して、その結果これまでほぼ100%の患者さんの誤解を解いてきたと思います。場合によっては、とても根気のいる作業です。
私の場合は、皮膚の状態を診察して、次回受診される時の皮膚所見を思い浮かべながら、薬を選択しています。次回には9割以上のお母さんが「良くなりました」と言って下さいます。しかし、ごく一部のお母さんが、当院の再診時の問診票に「変わらない」「悪くなった」のところに○を付けられます。EBMに基づいた治療をしているので、良くなることは当たり前。逆になぜ良くならないのかと、考えるのが“プロ”として大事な姿勢だと思います。前医で受診する度にため息をつかれたと言うお母さんもいらっしゃいましたが、私は逆に燃えてしまうのです。
医師は、処方した薬を患者さんがちゃんと塗ってくれていたはずと考えています。しかし、良くならない理由を考えていくと“薬不足”に辿り着くことがあります。その場合“薬の減り具合い”を聞いてみると、答えが分かります。更に聞いてみると、「すぐに止めてしまった」「薄くしか塗っていない」という事実が判明することもあります。これは悪気がある訳でもなく、致し方ないことだと思います。ちゃんと説明して、仕切り直しということで同じ薬を塗って頂くだけで、ほとんどが改善しています。よくならない理由が明確になるのです。
当院は、こういう患者さんが多いので、診療に時間がかかります。その結果、他院より待ち時間は長くなってしまいます。でも、こういうアレルギーで医療機関を渡り歩いてきた患者さんが当院に定期的に通院して下さるようになると“こだわり”を認めて頂けたと、私にとっての自信にもつながりますし、当院の“存在意義”をも認めて頂けたようでうれしく思います。今後も“個性”を伸ばしていこうと思っています。


