小児科 すこやかアレルギークリニック

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解除の実際
2008年03月11日 更新

ぜんそくを悪化させる有名な感染症として、インフルエンザとマイコプラズマがあります。インフルエンザの流行が拡大すれば拡大する程、当院で診ている患者さんが悪化してしまう可能性がありますが、今年は今のところ大した流行でなくて良かったと思っています。しかもそのお陰で、「食物負荷試験」もこなすことができています。これまで除去していた卵や乳製品を食べられるようになったかどうか、負荷試験で確認する作業を行っています。

少し前のことですが、9歳で卵の完全除去を指示されていた患者さんが受診されました。血液検査が「0」にならないと食べられるようにならないと誤解している人もいるようですが、成長に伴い通常は数字が1~2くらいに下がってくると、かなりの確率で卵製品が食べられるようになってきます。この子は卵の値はクラス1でした。この患者さんの場合は、毎年のように卵の除去を1年毎に“継続”、“継続”とされていたそうです。問診しているうちに、どうにかできなかったものかと考え込んでしまいました。この患者さんこそ負荷試験を行って、本当に食べられないのかどうかの確認作業を行わないといけません。ご本人は卵が“精神的”に苦手になっているはずですから、どうやったら本人納得のもと負荷試験を行って解除していくか、思案に暮れています。

食物アレルギーがあって、卵や乳の除去を指示された場合の各家庭での対応は、親御さんの考え方や性格にもよると思います。主治医から許可がある前から、チャレンジ精神でドンドン与えて、全身蕁麻疹が出てしまう場合もありますが、挑戦しつづけた結果、解除が進む場合もあります。除去し続けてきたのに、例えば祖母が間違って与えて(いわゆる誤食)、「意外に食べられるんだ」とそれを契機に解除していくケースもあります。一方、ものすごく真面目なお母さんは、主治医からの解除の許可をひたすら待っています。今回のケースは、まさにこのパターンでした。

乳幼児期にアナフィラキシーといって強いアレルギー症状を起こしてしまった場合は、特にお母さんの原因アレルゲンに対する恐怖心は、とてつもなく大きなものです。“一生食べさせなくても構いません”というくらいの意志の強さを感じます。仮にアレルギー検査の数字が下がってきても、そういう場合は、主治医から「自宅で少量ずつ食べさせてみて」と言われても、なかなか食べさせることに踏み切れない方も多いと思います。それでも時間が解決してくれるのでしょうか、いつのまにか自力で少しずつ解除されている場合も少なくないと思います。大半のお母さんが、そうやって事なきを得ていると思います。しかし、ごく一部かもしれませんが、それができないお母さんもいらっしゃいます。こういうご家族に対しても、食物負荷試験は適応になると思います。小児科医が病院もしくは医院で実際に食べさせてみて、お母さんの背中を押してあげるべきだと思っています。

「食物負荷試験」の目的は、子供の成長発達に必要な栄養を必要最小限に抑えるためのものです。食物負荷試験が普及していない県内では、“必要最小限”に抑えられないのは致し方ないのが現状です。当然、負荷試験を行っている施設に紹介して頂くのがベストですが、卵や乳など除去食品が1~2品で、子供が物心がつく前に“結果として”解除されているのなら、“よし”とすべきなのかもしれません。今回のケースは稀なのかもしれませんが、長年除去を続けていると、患者さん自身がトラウマになってしまう可能性が高いと思います。(ごくごく一部食べられない患者さんもいらっしゃるとは思いますが)そうでなければできるだけ早期に負荷試験による解除が望ましいのです。私の経験では、6歳くらいになると負荷試験をしても、食べたがらないために負荷が行えないことが多いです。その頃になっても解除できないようなら、専門医に紹介して欲しいと思います。

これだけ食物アレルギーの患者さんが増えている訳ですから、「食物負荷試験」は、もっと県内の小児科で行われるべきだと思います。せめて上中下越の各地域に1施設は最低でも必要でしょう。医療関係者やご家族、更には学校関係者の方々が食物アレルギーをキチンと理解して頂き、今回のようなケースが今後なくなって欲しいと願っています。なかなか解除が進まずに、主治医からも解除の許可が得られずに困っている方はご相談ください。