知り合いの方から電話がありました。3か月の赤ちゃんが皮膚がジクジクして、困っているので何とか診て欲しい、という内容でした。もちろん、二つ返事でOKしました。こういうケースは腕の見せ所だからです。
「乳児のアトピー性皮膚炎」、これは重症であれば、残念ながらキチンと対応できる医師が極めて少ないと思います。あくまで私の過去の経験から傾向をお話ししたいと思います。
まず「小児科」だとどうでしょうか?。診断は“乳児湿疹”と診断されているケースが意外と多いように思います。特に重症の場合ですが、治療は弱い群のステロイドと保湿剤の混合が出されていることが多いと思います。軟膏の使用が皮膚科ほど適切でなく、なかなか皮膚症状は改善しません。アレルギー検査で卵白やミルクなど数項目を調べて“除去”が指導されているのですが、離乳食の進め方、皮膚の洗い方、スキンケアの方法などの説明は、時間が足りないのか充分ではないようです。
一方「皮膚科」はどうでしょうか。皮膚科の先生は、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係に否定的立場である方が多く、アレルギー検査はまず行いません。しかし、小児科医と違って、ステロイドの使い方は“プロ”ですので、皮膚の症状を抑えることができます。しかし、食物という悪化要因が原因の場合は、それに関してはノータッチですので、じきに皮膚炎が悪化し、軽快と増悪を繰り返す場合があります。柏崎の病院にいた時に、隣の市から受診された赤ちゃんは、ご家族が「卵を食べると皮膚が悪くなるようだ」と情報を伝えても、アレルギー検査をしてもらえなかったと言っていました。検査の結果、卵の関与が強く疑われたので、除去したら皮膚症状が徐々に落ち着いていったという経験があります。
結局のところ、「小児科」の“食物アレルギーの関与を疑う考え方”と「皮膚科」の“軟膏の使い方”という双方の技術を持ち、専門的知識を駆使しないと難しいと思います。重症な患者さんであればある程、アレルギーの専門病院で修行してきた私にとっても、簡単なことではありません。しかし、これまでもこだわって、より重症な患者さんにも接触することが多かったため経験やノウハウはあると思っています。「私のほかに誰が診る」という気持ちで対応させて頂いています。
こういうケースは、お子さんの出生を喜んでいるのも束の間、皮膚がジュクジュクしたり、顔を掻きむしったり、機嫌悪く昼も夜も泣き止まなかったりするので、ご両親の不安や疲労はピークとなります。まず最初は、小児科を受診されるようですが、短時間の診療で軟膏を出されても改善しないため、別の小児科を受診するということを繰り返すことが多いようです。私の場合は、診断基準を満たせば「アトピー性皮膚炎」とお伝えしています。こうしているのは、別に不治の病という訳ではないし、いつも言っている通り、“診断”があるから“治療”も含めた対応や対策があるからです。つまり、現状を打破する方法が見つかるのです。
指導内容としては、アレルギー検査の考え方や離乳食の進め方、スキンケア、日常生活で気をつけることをまずお話ししています。治療に入る前にステロイドを使う理由、副作用、なぜステロイドが怖いと考えられていたか、などを納得して頂いてから、ステロイドの使い方を説明し、どの薬をどの場所に、どれくらいの期間使うか、他に併用する薬の使用法などもお伝えしています。こうやって20~30分時間をかけて説明すると、アトピーと診断されても、説明の途中から親御さんの表情が変わってきます。ほとんどが前向きに捉えて頂けることが多いように思います。診断した日にここまで話をしないと、親御さんはどん底のままですし、ここまで対応して初めて「アレルギー専門医」と言えると私は考えています。数をこなすことを要求される小児科の先生には、専門的な対応は難しいと思われます。個人経営だと収益も気になりますが、皆が同じやり方では決して少なくないアレルギーの、しかも重症な患者さんが路頭に迷ってしまうのです。
と言っている当院も、最近では急性の患者もかなり増えています。そういう患者さんにも対応しつつ、重症なアレルギー患者も対応しています。診療のリズムを作るのが大変なんです(汗)。でもそれが当院の“存在意義”であり、中越や下越からも私の知識や技術を“買い”に受診して下さるので張り合いがあります。
アトピーの場合は、「1か月程度治療しても改善なければ、小児アレルギー専門医や皮膚アレルギー専門医に紹介すべき」と言われています。該当する患者さんは紹介状を持って受診して頂ければ、全力を挙げてお力になりたいと思っています。


