以前は、自分が主治医であったぜんそくの患者さんのお父さんが床屋さんをやっていたので、そこに髪を切りに行っていました。開院してからは、時間的余裕が少なく、なるべく短時間で散髪を済ませようと、チェーン店に通っています。先日も、家から車で5分程度のその店へ出掛けました。そこの良いところは、待たずにものの30分で散髪と洗髪をしてくれることです。しかも1900円程です。いわゆる床屋さんのコンビニエンスストアと言えるでしょう。髪型にこだわっていない人には便利なシステムだと思います。
その日は、店長とおぼしき男性が、明らかに年上の従業員に何か怒鳴っていました。多分状況からすると、要領の悪い行動をとった従業員に対し、「頭を使え」「今日は帰れ」と言っていたようです。その時に、私はついその怒られた男性に自分をだぶらせてしまいました。
私は、丁寧で分かりやすい小児医療を心掛けています。若かりし頃もそうでした。以前、大病院に勤務していた時のことです。混雑する外来で、困っている患者さんをみると放っておけなくなり、話が長引くこともあったのです。患者さんと話し込んでいると、間髪を入れずに上の先生から「急げ!」と指示がよく飛んできていました。その当時を思い出しました。
今は一応“経営者”ですので、「急げ!」の指示はありませんが、当院での方針は、私が決めなければなりません。特に個人経営では、沢山の患者さんを診た方が地域医療に貢献していると思えるだろうし、いろんな面で有利であるのは事実でしょう。それもひとつのスタイルでしょう。しかし、これだけアレルギーの子供たちが増え続けている中で、咳が止まらず、皮膚も良くならないという患者さんも外来には混じります。アレルギーは症状を繰り返し悪くなっていくことが多いので、一部かもしれませんが、専門医の的確さが必要とされていると思います。ある程度アレルギーに的を絞ったスタイルも“あり”だと思うのです。
と言っても当院は、小児の病気で中心的な感染症をないがしろにしている訳でなく、それもこなしている上で、アレルギーで困っている患者さんにも丁寧に対応しているつもりです。初診時の説明だけで、かなりの確率で私を信用して下さり、その後は継続して通院して下さっています。こんな患者さんが既に何百人もいらっしゃいます。私は、急性の病気と違って、なかなか治らない子供さんの慢性の病気の治療を任されるのは、“医者冥利に尽きる”と考えています。毎日“生き甲斐”を感じながら診療させて頂いております。
4月から診療のルールが少し変わるようです。当院は“再春館製薬”ではないですが、これまでのやり方を変えません(笑)。「5分」という時間にはこだわらず、説明が必要な患者さんには20分でも30分でもかけたいと思います。効率という点では不利ですが、お金の問題ではなく、自分の「生き方」だと思っています。特にぜんそくは小児期で治らずに、大人に持ち越してしまう可能性もあります。親御さんとしては、「どうしたら我が子のぜんそくを良くできるか」質問したいことは沢山あるでしょう。それに応えるためには“3分”で済ませようとも思いません。「アレルギー」は、これまで通りの医療を続けていきます。頼られれば頼られる程、燃えますし、これまでも何とかしてきました。周囲ではどの医療機関よりも説明は時間をかけて行っている自信はありますし、「春休みに子供を連れて受診したい」と既にご予約もかなり頂いております。
最近は、インフルエンザがたまにしかみられず、ロタウィルスなどの胃腸炎が小流行しています。当院はこういった「感染症」の患者さんも増えました。ロタウィルスは症状が強く出ますので、子供の嫌がる点滴はなるべくしない方針なのですが、一部の脱水の強いケースには点滴をしています。脱水に至っていないと判断すれば“点滴をしない”理由を説明して納得して頂いています。急性の病気でも分かりやすい医療をと思っています。
床屋さんにもいろんな経営方針があります。当院は得意分野を活かして、困っている人に信頼される医療をというのが基本理念であり、それを実践することが地域医療に貢献することだと思っています。


