ぜんそく発作は、重ければ重いほど入院の確率が高まります。ご家族としても、お子さんが入院すれば、いろいろな点で大変だと思います。入院したくないのは本音でしょう。
例えば、子供さんがゼーゼーいって、夜中に咳き込み、あまり眠れなかったとします。それでも日中になると発作は軽くなるので、幼稚園や保育園に行かせているケースは結構あると思います。こういうことが何日も続いても、ソコソコ元気なんだし、仕方ないと思っていませんか?。ちょっと待って下さい。ご自分がお子さんの立場だったら、どうでしょう。夜も咳込んで眠れないのに、翌朝元気に仕事に行けると思いますか?。睡眠不足の状態が数日続いても、いつも通りに仕事を頑張れますでしょうか?。子供は、往々にして自分の気持ちを上手に表現できません。時にはお子さんの状態をご自分に当てはめて、子供さんの気持ちになってみて頂きたいのです。
最近は、酸素がどれくらい取り込めているか、簡単に測ることができます。あれが95%以下なら“不合格”です。酸素を吸う必要が出てきます。更に低い91%以下なら「入院の適応」です。ぜんそく発作を起こしやすい子は低酸素に慣れているので、それくらい低くても意外と元気そうにしています。お父さんお母さんがそんな値なら、とてつもなく息苦しいはずです。夜もほぼ眠れず、仕事に出掛けられるはずもありません。本人から「頼むから、すぐに何とかしてくれ」というくらいのレベルだと思います。
開院して間もない頃に、あるお子さんが“大発作”の状態で受診された時のことです。呼吸が浅くて速く、ゼーゼーも聞こえ、一見して「大発作」の状況でした。夜はほとんど一睡もできなかったそうです。酸素濃度も91%。「これはぜんそくの“大発作”なので、すぐに入院してしっかり治療してもらわないといけない状況です」と親御さんに告げたら「これくらいなら、○○先生なら点滴通院で治療してくれました」と言われました。これは私にとって衝撃的な言葉でした。いろんなドクターがいるので、いろんな判断があるのだと思います。重い発作の場合は、お子さんの状態を最優先で考えると、外来通院治療を選択しない方が、“お子さん”のためだと考えています。
私は福岡の研修先で、基本に忠実な小児ぜんそくの治療法を学ばせて頂いたつもりです。重症な患者さんもたくさん診てきたので、いくらご家族の希望でも、小児アレルギー学会の推奨する治療法を選択しています。その時も、ぜんそくの「ガイドライン」を片手に、お子さんの状況がぜんそくの“大発作”であり、呼吸困難が強く入院の適応であること、なるべく早く病院で治療を始める必要があることをキチンと説明し、ご納得頂いた上で、病院に入院して頂きました。
いきなりの大発作ですと、アレルギー専門医の私でも入院を回避させることは困難です。親御さんもあの時には入院治療が不可避だったことは理解して下さっています。ちなみに、そのお子さんは、現在も当院で治療を続けており、それ以来発作らしい発作は起こしていません。
昨年もこれからの季節は、ぜんそくの調子の悪いお子さんが多かったと思います。既に外来でも、若干調子を崩している患者さんもいらっしゃいます。ぜんそく治療のポイントは、異状を早く察知し入院のリスクの芽を早く摘み取ることです。早めに受診して頂ければ、お子さんの症状を安定させることはさほど難しくはありません。特に、昨年の秋に入院や点滴されたお子さんは要注意です。早めに受診して、ご相談下さい。


