先日、新患の患者さんがいらっしゃいました。“咳が長引いている”という理由でしたが、よくよく話を聞いてみると、小児ぜんそくが強く疑われる状況でした。
アレルギーは、親御さんからの遺伝の影響を受けやすいため、当院ではご両親のアレルギーの有無をチェックしています。問診時にご家族のアレルギーの有無(家族歴と言います)を聞いていますが、この患者さんの場合はご両親ともに“なし”と記載されていました。ただ私の経験上、ちょっと掘り下げて聞いてみると、ぜんそくの存在が明らかになることがあります。「お母さん(お父さん)は咳がなかなか止まらないことはないですか?」と聞いてみると、それがきっかけで親御さんのぜんそくが隠れていることが判明する場合もあるのです。
今回のお母さんは、出産を契機に咳が出やすくなったそうで、咳が長期間止まらずに、困っていたということでした。ある時、「咳ぜんそく」という病気を説明したパンフレットを見つけたそうです。この病気は“ぜんそくの初期段階、もしくは軽症のタイプ”と考えられていて、ゼーゼーやヒューヒューはしないため分かりづらいけれど、ぜんそくのひとつのパターンであると理解されています。そのパンフレットには典型的な症状がいくつか記載されており、いくつ以上満たすとその咳ぜんそくがかなり疑われるというようなチェックシートが付いていたそうです。
試しに付けてみた結果、お母さんは“ご自分が咳ぜんそくであることを確信された”そうです。かかりつけの先生に「咳ぜんそくではないかと思うんですが…」と相談してみたところ「違うんじゃないの」とあっさり言われたそうです。実はその先生は別の分野がご専門の先生であり、この病気に関してはさほど詳しくなかったのだと思います。今回、私に「咳ぜんそくでしょうね」と言われ、とてもスッキリされていました。内科は専門性が細分化されているため致し方ないと思うのですが、「呼吸器科」の先生にお聞きしていたら近道だったと思います。
ご両親ともにアレルギーがないと、お子さんがぜんそく等のアレルギーになる確率は低いのですが、親御さんにぜんそくがあると、お子さんはぜんそくを遺伝しやすくなります。となると、お子さんがぜんそくの様な症状を繰り返すのも合点がいきやすいと思うのです。
咳ぜんそくは、比較的新しい概念であるため、小児科医の間ではまだあまり知られていないと思いますが、小児科医の中でも、アレルギーや呼吸器を専門にしている医師ならよく知っています。私も多くの患者さんを診ています。季節の変わり目のために咳が続くお子さんが増えてきました。病気をよく知らないと、疑うことすらできません。なかなか症状が改善しない場合は、専門的な医療が必要と思われますので、ご相談下さい。


