先日、コレステロール値の高い中学生の子が受診されました。
重症度にもよるのでしょうが、小児であってもコレステロールを下げる薬を服用しなければならないケースもあるのです。この患者さんの場合は内服薬の適応も含め、精査が必要と判断しました。この分野の高度な知識をもった小児科医にお願いするべきと考えましたので、紹介状を書かせて頂きました。いくら小児科とは言え、医学は確実に進歩して細分化しています。自分が責任を持って対応できないと思えば、専門医に紹介するのが小児科医の義務だと思っています。
今回も、アトピー性皮膚炎の患者さんが、初めて受診されました。当院は遠路はるばる受診されるケースも少なくありません。今回は敢えて書かせて頂きますが、小児科、アレルギー科の医院で治療されていました。通院を繰り返しても皮膚が良くならなかったということで、困り果てて当院を受診されました。お母さんの判断で、紹介状を持たずに受診されたのです。
当院はアレルギーの専門的診療を行っており、アトピー性皮膚炎においても軽症から重症まで対応しています。これまでの経過や治療薬をみれば、何が足りないのか、どう治療をすれば症状を改善させられるか、判断はできます。当然のことですが、普通の小児科の先生よりも専門的な対応が可能です。“より大胆で、かつ繊細”な態度で治療しないと、乳児のアトピー性皮膚炎は良くすることはできないのです。悪化要因は食物を含め、いろいろ考えなければならず、特に重症の場合は、小児科医であっても対応は極めて難しいと言わざるを得ません。
前医では、ほんの数分の診療だったそうです。私の経験上、重症の患者さんの場合、数分の診療では充分な対応は無理だと思います。当院では25分程お話ししたと思いますが、薬の選択のみならず、追加する薬剤、皮膚の洗い方、スキンケア、離乳食、母の食事までひと通り丁寧にお話ししました。ステロイドの塗り方も特に指導はなかったため、塗り続けることにかなり抵抗を感じていたそうです。これについても納得して頂けるまで、説明致しました。
この患者さんは、確かに軽症ではありませんが「1か月程度治療してもよくならなければ、専門医に紹介する」と日本アレルギー学会も推奨しています。前の先生も頑張られたとは思いますが、良くならなければ患者さんにとってメリットはありません。別のお母さんの話になりますが、子供さんと歩く時の周りの視線が痛かったそうです。目で見えるが故に、なるべく早く皮膚症状を改善させてあげなければ、患者さんやご家族にまで辛い思いをさせることになりかねません。
食物アレルギーが関与するようなアトピー性皮膚炎では、否定的な小児科医も少なくありません。アレルギー検査をされる小児科医も多いですが、食物の項目が3つ以上陽性(卵白、ミルク、小麦など)の場合は「専門医へ紹介」するよう厚生労働省のまとめた「食物アレルギーの診療の手引き2005」の明記されています。
繰り返しますと、食物アレルギーに関係なくても、1か月程度治療しても改善のない場合や、3種類以上食物アレルギーの関与が考えられる場合は、「アレルギー専門医」に紹介することが推奨されているのです。それだけ重症アトピー性皮膚炎は対応が難しく、専門的な技術が必要なことを表していると考えています。
紹介状を書いて頂ければ、当院でどのように治療して、症状を改善させたかを書いて返信します。返事の内容により、治療の足りなかった部分が見えてくることもあると思うのです。つまり紹介して下さる先生にとっても、患者さんを紹介するメリットはあると考えています。
私自身も、なるべく対応するつもりではいますが、専門外で判断が難しいと思えば、今後もご専門の先生に紹介するスタンスを取りたいと思っています。その方が“確実に”患者さんのためになると考えているからです。アレルギーに関しても、重症者は紹介して頂いた方が患者さんのためになると思うのです。患者さんが思う以上に、医学は進歩し、より“専門化”してきているのです。重症なアトピーは、残念ながら小児科、アレルギー科ですべてが対応できる訳ではありません。
今回の患者さんの「もっと早く受診すればよかった」という言葉が心の中に残っています。


