私が柏崎の病院にいる時から私のもとに通院して下さっている患者さんのお母さんが、今日当院を訪れ、診察室に入るやいなやいきなりグチをこぼし始めました。
私の研修先の病院では、重症な食物アレルギーの患者さんが多く、アレルギー検査で卵白6、ミルク6、大豆6、小麦6、、、という何を食べさせていいか分からなくなるような子が沢山いました。その子も、普通の小児科医なら対応しきれないような、福岡の病院レベルの患者さんでした。
先日、その子の兄が近所の皮膚科にかかった時に、弟のことに話題が及んだそうですが、重症アトピー性皮膚炎と重症食物アレルギーを持っていることを話したそうです。お母さんは多くを語るつもりはなかったそうですが、何が食べられないのかと繰り返し聞かれ、「卵と乳製品と小麦と大豆と、、、」と話し出したら、「嘘だ、そんな話は聞いたことがない。」と言われたそうです。
当院で食物負荷試験を行って、どこまで食べられるのか確認していることを説明しても、皮膚科の先生の専門分野ではないのでよく理解してもらえなかったそうです。さんざん「信じられない」と繰り返され、「食物アレルギーは3歳までには食べられるようになる。これまで診療していて、そんな患者は診たことがない。」とまで言われたそうです。
そのお母さんは、以前もこのトピックスで話題に上げたこともある方で、最重症なお子さんのために人一倍がんばっていらっしゃいます。そんなお母さんにKY(空気の読めない)な発言をされたため、相当悔しかったようです。私がその場にいたら、キチンと話をできたのですが…。ただ、その先生もある意味、とても正直な先生だったのでしょう。でも食物によるアナフィラキシーを皮膚科医が診ることは少ないと思うので、専門分野以外にそういった世界というか現実もあることを少しは理解して下さっても良かったのではと思ってしまいます。食物アレルギーはまだまだ社会の理解が得られておらず、医師であっても理解していない人もいるのだなと思いました。
たいていの小児科の先生でも診たことはないと思うのですが、この子は最初は日本人の基本である“お米”も怪しかったのです。今は米は食べられるようになりました。納豆などの大豆製品も、自然の低アレルゲン食品ですが、これでも症状が出てしまうような、想像を遥かに超えた重症さなのです。このように限られた食品の中で、お母さんが我が子のために精一杯頑張っているのです。
この子は当院に受診される度に、だいたい負荷試験をやっています。今日も小麦製品が食べられるかどうか、負荷試験を行いましたが、結局顔からあごにかけてポツポツと蕁麻疹が出てしまい、負荷試験はうまくいきませんでした。でもお母さんの子供に少しでも食べられるものを増やしてあげたいと思う気持ちに対し、主治医である私も“同じ気持ち”になって初めて「食べられるものを探す(負荷試験をする)」という共同作業に移れるのです。手間がかかり、医院の収入にはなりませんが、そういうレベルの問題ではないのです。医療の基本は「人助け」だと思うので、今後もこの患者さんをサポートしていきたいと思っています。
新潟県には、まだまだこんな患者さんがたくさんいらっしゃると思います。乳児のアトピー性皮膚炎は対応が難しいと先日書きましたが、食物アレルギーの方がもっと専門的な知識や技術が必要になります。「小児科医に診てもらっているから大丈夫」という訳ではないのです。少しでもアレルギーで困っている患者さんの力になりたいと思っておりますので、まずは当院のホームページから相談のメールを下さい。


