ある県の整形外科で点滴死亡事件が起こりました。
ご存知のように、衛生管理に問題があり、点滴の薬を作り置きしておいたために、薬と共に病原菌を患者さんの身体に注入してしまったというものです。お気の毒なことに、死亡された方や体調不良を訴えた方が多くいらっしゃいました。
報道によると、点滴には鎮痛剤やビタミン剤が入れられていたようです。何と月に600件くらい日常的に行われていたそうです。私は、痛いのならその時に痛み止めを“飲めば”いいと思うし、ビタミンがとれない程、栄養が摂れない患者さんが多いとは思えません。整形外科のことはよく分からないのですが、経営的な思惑が強かったのではないかと勘ぐってしまいます。
一般的に点滴神話と言いますか、点滴は効くものと思われている親御さんは多いと思います。私はあまりそうだとは思っていません。子供で、脱水のためにおしっこの出ていないケースでは、根本的な治療であるため点滴をしますが、それ以外の病気の場合は、基本的にはさほど必要性を感じていないというのが正直なところです。
私は小児科医ですから、子供の嫌がる痛い医療はしたくないというのが一番ですし、飲み薬で代用できるようであれば、点滴をする必要はないと考えています。今回の事件は例外的であり、点滴がそんなに危険なものだとは考えていませんが、強制的に身体に薬をいれるのは、個人的には抵抗がない訳ではありません。医療は人間のやることですから、患者さんにとって身近な点滴でさえも、最悪このようなことも起こりうるということが明らかになった訳です。このニュースを見て、今後も引き続き本当に必要と判断されるケースだけ点滴をやっていいこうと思っているところです。
小児でよくみられる感染症は、内服の抗生剤でもよく効くケースが多いです。ぜんそくの場合は、患者さんの重症度を見極めて対応していると、発作は起こしませんので、点滴の必要すらなくなります。正確には風邪を契機に軽い発作を起こすことがありますが、点滴をしない治療で改善しています。
私の研修先の病院は重症患者さんが多かったですが、専門家が外来でキチンと治療していましたので、それでも発作を起こす場合は原則入院で治療していました。当院もぜんそく患者さんは専門的にキチンと管理しているつもりですので、点滴するのは薬を嫌がって飲めない子くらいです。発作で受診する患者さんの1%以下だと思います。
子供の嫌がる点滴は、しないような治療を選ぶのも「技術」だと思っています。点滴は「医師が必要と判断した」場合に行うものです。各医師の判断によって点滴が必要、不要と分かれるものです。親御さんたちも、“点滴しないで治る”ようなら点滴しない方法を望まれると思います。した方が医院にとって経営的に有利になってしまうのですが、私はそんなために医療をやっている訳ではないので、今後も自分のポリシーを貫いていきたいと考えています。


