小児科 すこやかアレルギークリニック

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説明責任
2008年06月29日 更新

先日診療していたら、新患の患者さんが受診されました。住所をみると、100キロ以上離れた市から来て下さっていました。大きな期待を感じ、キチンと答えを出してあげなければいけないと自然と気合いが入りました。

実は、ご実家の上越に来られた際に、当院の評判を聞いて受診して下さったそうです。皮膚と咳について相談したいということでした。お子さんは県外で生まれて、この春に新潟に引っ越して来られたそうです。これまで、皮膚は「魚鱗癬」、咳は「ぜんそくっぽい」と診断されていたようです。

皮膚は、以前はかなり乾燥がひどかったようですが、現在はだいぶ落ち着いてきています。しかし、診察中に痒がる部位をみれば、見当はつきます。あとは乳児期の皮膚の状況や経過を聞けば、診断はつくと考えています。私はアトピー性皮膚炎と診断しました。これまで「魚鱗癬」と診断されていたようですが、今は診断された時の状況を診ることはできませんが、多分正しくないと思っています。そもそも魚鱗癬の方が頻度的にも相当少ない珍しい病気なのです。

ぜんそくの診断は、主治医の力量で決まります。ゼーゼーという喘鳴を繰り返すのがぜんそくの特徴ですが、そうではありませんでした。しかし、経過をよく聞くとそう診断してもいいと思います。喘鳴が診断の最大のヒントですから、非専門の先生には難しかったと思います。ちなみに皮膚と咳の診断名を告げたら「あー、やっぱりそうですか」という反応でした。

いつも言っている通り、診断がつかなければ次の展開がないはずです。当院を受診される患者さんの前医の処方をみると、咳が続いても“風邪薬”が出されていることが多いように思います。赤ちゃんの湿疹には“ステロイド軟膏”を出す医師が多いように思いますが、アトピーという説明もないのに処方されているようです。医学は科学ですし、治療も数ある薬の中からその薬を選択した根拠を患者さんに示す説明責任があると思うのです。それを果たしてこそ「プロ」と言えるのではないでしょうか。

患者さんも医師に任せ過ぎの感は否めないと思うのです。先日も、小児科ではなかったのですが、咳の続くお子さんに重症のぜんそく患者さんに使う吸入ステロイドが出されていました。患者さんも、なぜその薬が処方されたのかを理解してはいませんでした。大事なお子さんに使う薬です。もっと質問して、納得いくまで説明を受けなければいけません。

土曜の混雑した外来の中で、20~30分は説明したのではないかと思います。今回の患者さんは当院の評判を聞いたと言って下さいましたが、自分のことをいい医者だなんて思っていません。ただ困っている患者さんに対して、誠実でありたいと思っているだけです。私には、つくづく効率を重視する医療は向いていないんだなと思います。小児医療には、患者さんとじっくり向き合うタイプのニーズもあると実感しています。

結局、この患者さんには専門的な知識を駆使して、咳と皮膚に対し答えを出し、自分なりに分かりやすい説明で、咳と皮膚に関する治療や今後の対処法についても説明しました。お子さんの診断が中途半端だった訳ですが、敵が見えた分、対処法も分かり、お子さんの治療に前向きに取り組んでいって下さるものと確信しています。県内にも、アレルギー分野でこんな診療をやっている小児科医がいることを知って頂けたら有り難いと思っています。

県内には、今回のようなアレルギーでお困りの患者さんがまだまだ多いと思っています。もしかしたらアレルギーと認識されていらっしゃらないケースも少なくないと考えています。間もなく夏休みですが、咳や皮膚などの症状がなかなか改善されないお子さんは、これを機会にぜひご相談下さい。