「アナフィラキシー」という言葉を聞いたことのある方は、さほど多くないのではないでしょうか。
たいていの方の持っている「食物アレルギー」のイメージは、卵やサバを食べてしまい、蕁麻疹が身体の一部に出てしまいかゆかったが、翌日にはきれいさっぱり消えてしまった、ということかもしれません。
近年は、「食物アレルギー」の患者さんが増えており、重症化、多様化していると思います。最近は地球温暖化が進んでいますが、ちょっと似た部分があるのではないかと思うのです。温暖化の影響で、雨が降れば“豪雨”で水害や土砂崩れなどがみられます。自然災害で命を落とす方も増えている印象があり、自然が凶暴化しているなどと言われたりしていますよね。
食物アレルギーも、本来人間にとって自然で優しいはずの「食べ物」が、アレルギー体質を持った人間の身体の中で嵐を吹き荒れさせて、命を落としかねないような状況を起こしているのです。また、アレルギーを起こすとは思われていなかった果物や野菜、魚介類でも起こしてしまいます。
このような食物アレルギーの中でも、強い症状のタイプを「アナフィラキシー」といいます。医学的には、蕁麻疹の他にゼーゼーいったとか、蕁麻疹と腹痛、嘔吐がみられたなどのような「皮膚と呼吸器」、「皮膚と消化器」のような2つの臓器に渡って症状をみられるものを指しています。
さらに強い症状として、血圧が下がり、意識が遠のいたり、手足が冷たくなるショック症状を呈し、生死に関わるような極めて重い症状を「アナフィラキシーショック」と言います。一般の方はこんな状態を予想せずにいきなり許容範囲よりも多くの量の食べてしまうので、ショックに陥ることもあるのです。数年前に行われた全国調査では、食物アレルギーの症状のみられた患者さんのうちの10%以上が、ショックもしくはショックに近い状態になったと報告されています。
当院にかかった食物アレルギーの患者さんの中には、アナフィラキシーを繰り返しているのに精査をしていなかったり、症状よりも軽く判断されているケースが少なくありません。ということはご家族が何に注意したらいいか分からず、様子をみているようなケースもあるのです。
食物アレルギーの難しいところは、症状が体調に左右されてしまうことです。体調の悪い時に症状を起こしてしまったら、先回以上に重い症状、つまりショックを起こすことも有り得る訳です。しかも外出先で症状が起きてしまい、対応が遅れたなんて言ったら目も当てられません。
食後1時間以内に蕁麻疹を繰り返していれば、食物アレルギーの可能性があります。しかも咳き込んだり、嘔吐を伴ったりすればアナフィラキシーという、重いアレルギー症状である可能性が高いです。学校関係者、園関係者の方々で、こんな症状がみられるお子さんは周りにいらっしゃいませんか?。病気をキチンと認識していないと、預かっているお子さんを守ることはできません。
今度触れようと思っていましたが、食物アレルギーに関して学校の先生の理解が薄く、その対応にビックリしたことがあります。これから夏休みに入りますが、アレルギーと思われる症状を繰り返しているお子さんがいれば、受診を勧めてみて下さい。医者が変わると、すぐに解決してしまうことも有るのです。こども達を本来楽しく食べる給食で、危険な目に遭わせてはいけません。
こどもを扱う職種の方々はもっと食物アレルギーを理解して、真正面から向き合って欲しい、そう思っています。


