「アレルギー」は慢性の病気なので、お困りのお子さんに対して我々小児科医は、なるべく早期に診断し、治療を開始して症状を安定させる努力をすべきだと思っています。
先日、受診された赤ちゃんは、N市在住の方でしたが、こちらに帰省されている時に、心配な症状の相談に来られました。
帰省前に、普通ミルクを飲んでじんましんが出たという状況を2回繰り返していたそうです。地元の小児科を受診していたのですが、ミルクアレルギーを疑われることもなく、じんましん用の抗アレルギー剤を処方されていただけでした。
患者さんが診察室に入ってきて、すぐにアトピー性皮膚炎だと気づきました。よく「アトピー性皮膚炎かどうか検査してみましょう」という医師がいますが、専門医なら見ただけ(「診た」ではありません)で分かります。過去の皮膚症状を確認し、アトピー性皮膚炎と診断しました。ちなみに前医では“乾燥肌”と診断されていたそうです。
ミルクアレルギーの話が、いつの間にかアトピーに変わっていますが、乳児のアトピー性皮膚炎は食物アレルギーを合併することが多いのです。状況証拠からミルクアレルギーは疑う余地もなく、ミルクのアレルギー検査はするまでもなかったのですが、頻度的にミルクよりも多い、卵も調べる必要もあったので、赤ちゃんには申し訳ないのですが、アレルギー検査の採血をさせて頂きました。
以前も書いたことがありますが、子供の食物アレルギーでは卵アレルギーの方が、ミルクアレルギーよりも圧倒的に多いのです。しかし、生後4ヶ月では卵はまず食べさせませんよね。ミルクはもっと早期から飲ませることが多いです。ですからミルクアレルギーの方が発症が早いのです。
生後1ヶ月頃から湿疹が出始めて持続し、ミルクを飲んでじんましんが出てしまうというストーリーは、アレルギー専門医からするとよく経験することなのです。再び何気なくミルクを多量に飲ませていたら、もっと強いアレルギー症状を起こしていたかもしれません。危険を回避できたという意味でも、当院を受診して下さって良かったと思っています。
お母さんにアレルギー用のミルクの試供品をお渡ししました。アレルギー用のミルクは、普通ミルクよりも味は落ちてしまいます。赤ちゃんは最初は味が変わって戸惑うこともあるでしょうが、安全第一です。アレルギー症状はまず起こさないと思います。
ただ、それだけでは解決する訳ではなく、指導する点が多いのも「アレルギー」の特徴です。お母さんの食事が母乳を通して赤ちゃんに行ってしまうことをご存知の方も多いと思います。お母さんの食事についてもお話ししましたし、離乳食の進め方、アトピーの治療について、スキンケアについても説明しました。30分以上はかかりましたが、それなりの指導はできたと思っています。
前医の先生は「小児科、アレルギー科」を標榜していらっしゃいますが、当院も「小児科、アレルギー科」です。申し訳ないですが、診断や治療、対応でこれだけの差が生じてしまいます。私は、小児科全般の経験では前医の先生にはかないませんが、アレルギーをより広く、より深く学びたいと思って、小児アレルギーの専門病院で研修させて頂きました。私の最も得意とする分野であり、やはり「違い」は生じてしまうのは致し方ないと思います。
「アレルギー学」は非常に奥が深く、私にも対応が難しいケースもあります。私がいろいろ考えながら治療しても、どうしようもならない場合は、日本の第一人者の先生など経験豊富な先生に相談することにしています。そうすれば、患者さんをもっと良くできるでしょうし、私自身の勉強にもなります。
「自分の関わった患者さんをどうにか改善させてあげたい」、そう思う気持ちでは誰にも負けたくないと思っています。それが一番大きな「違い」であって欲しいし、私ももっと精進しなければならないと思っています。


