小児科 すこやかアレルギークリニック

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2008年08月28日 更新

先日、N市からお子さんの顔の湿疹と食物アレルギーの相談のためにお母さんが受診されました。

赤ちゃんの時から湿疹があり、合計で3つの小児科、1つの皮膚科を受診されていたようです。ほとんどが“アレルギー科”の看板も挙げている先生方です。「アトピー性皮膚炎ではなさそうだから、じきに良くなるよ」とどの医院でもそう説明されていたそうです。それが2年も治らず、現在に至っています。

どの医院でも、アトピーと診断していないのに何故かアレルギー検査だけは繰り返されていました。症状が改善しないため、お母さんはアレルギー検査で陽性のものはすべて除去していました。残念ながら、どの医院でもアレルギー検査の説明は釈然としておらず、検査をすればするほどお母さんは食物の除去が足りないと悩み、ご自分を責めるということを繰り返していました。あまりの治らなさに、シックハウス症候群もあるのではと、お母さんは途方に暮れた状態で当院を受診されました。

診察室に入ってきたお子さんの顔をみて、アトピーだと判りました。いくつか問診してみて、確信しました。アトピーの診断は、実はこれだけで充分なのです。診断ができていないから、治療も「アトピー」を改善させるには充分でなかったと考えています。

食物アレルギーについてもいろいろ聞いてみると「そんなにガチガチに除去しなくてもいいのに…」というくらい厳格なものでした。実際のところは食物負荷試験で確認しないといけないのですが、ちょっと過度といっていいものでした。正直言って、母の子を思う執念すら感じてしまいました。

アトピーの悪化要因は、食物だけではありません。汗や環境要因、掻くという行為などなどいろんなものがあります。食事制限を徹底しても、診断を的確にしてた上で、他の悪化要因を取り除く努力をしなければ、改善するはずはないのです。

成長期のお子さんに、アレルギー検査で反応しているものをすべて除去することは、成長に大きなデメリットを及ぼします。主要アレルゲンのほとんどを除去する生活をされていました。嫌な言い方になってしまいますが、医師の対応がもう少しキチンとしていれば、親御さんの反応もきっと変わってきただろうというのが正直な印象でした。

問診も含めて45分以上は説明しました。まずアトピー性皮膚炎と診断されること、なぜ良くならないのか、現在の治療法、患者さんの場合のお勧めの治療、アトピーと食物アレルギーとの関係、食物負荷試験についてなどなどを話していたら、時間がどんどん経ってしまいました。

この辺りを小児科や皮膚科の先生が説明するのは難しいのではないかと思います。小児科の良いところと、皮膚科の良いところを融合させた戦略が必要だからです。小児アレルギー専門医の独壇場といっていいと思っています。こういう患者さんを治療していくためには、専門的知識を持った医師が強力なリーダーシップを持って、患者さんをグイグイ引っ張っていく姿勢が必要ではないかと思うのです。

治療を始めたばかりですので、私自身がどこまで治療できるのかは、まだ分かりませんが、もちろん勝算はあります。言っても仕方のないことですが、「もっと早く診せてもらえれば」という思いはあります。各医師も自分の手に負えないと思ったら、専門医に紹介するという姿勢は必要だと思っています。日本では「アレルギー科」の標榜は自由ですから、各医師に技術の差は存在することも頭の片隅に入れておいて頂きたいと思います。

いつも言っている通り、日本アレルギー学会では、1か月ほど治療してみて改善が思わしくなければ、専門医に紹介することを推奨しています。もしくは患者さんの方で、思い切って紹介状を書いてもらうことも必要かもしれません。最近は“セカンドオピニオン”といって正しい適切な医療を受けるために、専門医に今の治療でいいのかを確認するシステムがあります。患者さんの権利として、覚えておいて頂きたいと思っています。

あまりにも除去しているものが多いので、何度も「食物負荷試験」を行わなければなりません。皮膚を安定させるには、最初のうちは短いスパンで通院して頂かなくてはなりません。いかんせん、ご自宅から当院まで120キロも離れています。しかし親御さんは通う気満々のようですので、お言葉に甘えて治療させて頂こうと思っています。

ちょっとプレッシャーがかかる状態ですが、何とかお母さんから「通院して良かった」と言って頂けるよう、全身全霊を込めて対応させて頂きたいと思っています。