私が診ていたアレルギーの患者さんで、下越の某市に転居された方がいらっしゃいます。
引っ越し先で、どこの小児科に行くべきかよく分からなかったそうですが、インターネットの口コミ情報をもとにある小児科を受診されたそうです。そこで、アレルギー検査を勧められ、検査結果を聞きにいったとのことです。
その子のお姉さんが食べ物を食べると、強いアレルギー症状を繰り返しているのですが、姉妹だけに体質も似てしまったようで、妹さんも卵とミルク、小麦、大豆すべてが2~4と陽性の結果でした。
その結果を見て、その先生は「これだけ食物アレルギーがあるのだから、アトピー性皮膚炎がないのはおかしい」と説明されたそうです。その日は、お母さんは「この子はアトピーなんだ」とガッカリして、帰宅されたそうです。
実は、このご家族は上越によく帰ってこられるので、私が定期的にお姉さんのぜんそくを診ているのです。お姉さんのぜんそくは重く、アレルギー専門医でなければ治療は難しいと思います。親御さんも私を信用して下さり、嫌な顔せず定期的に通院して下さっています。
妹さんも日頃から診ていたので、アトピーでないことは把握していました。先日受診された際に、アトピーかどうかの話が出ました。アトピーとはアレルギー検査の結果で診断するものではなく、日本アレルギー学会の推奨する診断基準をもとに、その基準を満たしていればアトピー、満たしていなければアトピーと診断すべきではありません。皮膚症状があるから困って受診するのであって、血液検査だけで判断してはいけないのです。
それをお母さんにキチンと説明したところ「よかった~。ホッとしました。」と喜んでいらっしゃいました。確かに、これから皮膚症状が出始め、のちにアトピーと診断されるケースはあり得ます。乳児期に発症することが多いので、乳児期を過ぎた時点で心配するのは、行き過ぎでしょう。アレルギーの専門医なら、皮膚がまったくきれいなのに重症な食物アレルギーを持っているお子さんがいることを知っています。一方、重症なアトピー性皮膚炎なのに、食べ物は何でも食べられるお子さんもいるのです。皮膚症状が出てから、診断すべきなのだと考えています。
ちなみにこの患者さんは、卵、ミルク、大豆、小麦に反応が出ていました。じっくり問診しただけで、大豆と小麦は厳密に除去しなくていいことが分かりました。検査の値だけで除去を指導されたようですが、食物アレルギーの基本をしっかり押さえた上で、お母さんと向かい合って食事についてちょっと丁寧に問診するだけで、的確な指導ができるのです。
アレルギーは、現実問題としてなかなか適切な診断や医療が受けられないこともあるようです。当院では、的確に治療し早く症状を取ることを追求しています。私が対応することで、お子さんの症状を鎮めたり、親御さんの気持ちを楽にできたりするケースはまだまだ多くあるのではないかと思っています。
こども達や親御さんにアレルギーだから仕方ないとか、諦めたとか思って頂きたくないのです。確かに、食物アレルギーなら私が対応して、すぐに食べれられる訳ではありません。しかし、制限や除去は必要最低限にするよう努力すべきです。そういう考え方が患者さんや小児科医の間で確実に広まるように、私は努力していきます。


