夏休みの終わりに、下越の小学校の校長先生や担任の先生に遠路はるばるお越しいただき、食物アレルギーでショック症状を起こしてしまったお子さんのために、今後ミスなく対応していくための作戦会議を行ったことは以前も触れました。
先日、第二弾として市内の中学校の担任と養護の先生にお越しいただき、患者さんの病状と対処法について話し合いを持ちました。もちろん、親御さんの了解も頂いており、今回はお母さんも参加されました。
食物アレルギーは、子供に多い病気ですが、いろんな問題を含んでいます。専門医が県内にはほとんどいないこと、アレルギー検査だけで制限や除去が行われていること、診断を確定する唯一の方法である食物負荷試験をやる小児科医がまずいないこと、重症な病態なのに重症と捉えられていないこと、患者さんが誰にも相談できず一人で悩んでいるケースが多いこと、医師と園や学校の意思の疎通がはかられていないこと、栄養士とも緊密な連携がとられていないことなどなど挙げたらきりがありません。
私の行っていた福岡県は、食物アレルギーの関心も高く、小児科医も専門医に紹介状を書いて専門的に診察して評価してもらうということは日常的に行われていました。新潟に帰ってきてみて、全体的に意識の低さを感じざるを得ません。
園や学校では、卵を除去するように指示されているのに、お子さんが家ではプリンやマヨネーズを食べているお子さんもいるのです。卵を多く含む食べ物を食べていて、卵“禁”は矛盾していますよね?。園や学校は医師の診断書に卵は禁止と書いてあると何もできず、それに従うしかないのだそうです。医師も、同じ内容のアレルギー指示書を毎年書き続けているケースもあるようです。
本来なら、小児科医がイニシアチブをとって患者さんや園や学校関係者に正しい知識や対処法を教えなければならないのです。でも、現状はご覧の通りです。小麦製品の「ふ」を食べてじんましんが出たお子さんが、ある小児科にかかりアレルギー検査をしてもらったら小麦が陽性だったそうです。お母さんが「うどんは食べて良いでしょうか?」と尋ねたら「汁に小麦成分がたくさん入っているだろうから、汁は止めなさい」と言われたそうです。皆さんはこの指導を信じますか?。
某市では、園に提出するアレルギーの指示書に卵やミルクのアレルギー検査の値を記入するそうです。プロでも適切な判断が難しいのに、専門的知識を持たない園の先生方がそれで充分な指導ができるはずがないのです。こんな調子では、新潟県の食物アレルギーを持つ子供の環境は何も変わりません。
私はこの新潟県の現状を変えたいと思っています。各園を回って講演をしたいくらいの気持ちです。新潟県全体の食物アレルギーに意識変革には相当時間がかかると思いますし、私一人ではできることが限られています。まずは地元からと思っていますし、できることから始めなければなりません。
つい熱くなってしまいました。でも誰もやらない中で、情熱を持ってやっていこうという気持ちを持ち続けることは大切なことだと信じています。
だいぶ話が逸れてしまいましたが、まず優先順位として重症なお子さんから何とかしなければなりません。重症さを学校側に的確に伝えないといけないと考えました。ということで、地元の中学校の先生二人に医院に来ていただいた訳です。
学校側も一番困るのはショック時の対応だと思いますが、その前にショックの時にみられる症状、救急対応を要するタイミングの説明をしました。いつもショックになるとは限らないので、比較的軽い症状の時の対処法、そうしても病院に行かなければならない時の状況などなど、ぜんぶで1時間半くらい話せたと思います。
最近は、小学生や中学生の食物アレルギーの患者さんが受診されるようになりました。皆さん、評判を聞いて来ましたと言って下さいます。いい噂が広がるのはゆっくりなものです。まずは私の地元である上越地方の園や学校関係者の方々に食物アレルギーに対してより関心を持って頂けるように働きかけなければならないと思います。上越では唯一の小児科のアレルギー専門医として、これからも地道に取り組んでいきたいと思っています。


