小児科 すこやかアレルギークリニック

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2008年09月15日 更新

親御さんは、こどもさんが病気になると小児科医を何でも知っている「プロ」として信頼して受診されています。

理想的には、小児科医はこどもの病気のすべての分野において一線級に精通していなければなりませんが、そんな小児科医はまずいないでしょう。小児科は分野が広いので、誰にでも得手、不得手はあると思います。

こどもは体が強くないので、また幼稚園や保育園で集団生活を送っているので、風邪や胃腸炎、みずぼうそうなどの感染症にかかりやすいのです。ですから、小児科医のほとんどが「感染症」に力を入れています。

その次に多いと思われる「アレルギー」は、残念ながら「感染症」ほど力を入れられていない気がしてなりません。小児ぜんそくの重症な患者さんは吸入ステロイドを用いた気管支で起きている炎症を抑える治療を選択する先生が増えてきましたが、“アレルギー科”の看板を掲げている先生であっても、軽症の場合は本当に“風邪”や“マイコプラズマ”と診断されていたり、湿疹が重症でもアトピーと診断されていないケースさえあるのです。

先日受診された湿疹と食物アレルギーの患者さんは、某市の人気の小児科、アレルギー科に通っていらっしゃいましたが、4月に上越に転居されてきました。湿疹は一見してアトピーでしたが、診断もなく軟膏だけが処方されていたそうです。アレルギー検査がなされており、卵、ミルク、大豆、イクラ、マグロが陽性でした。これらを除去するように指導されていたそうです。

よく食物アレルゲンとして卵とミルクと大豆を調べる先生がいらっしゃいますが、3大アレルゲンを調べているつもりだと思いますが、現在は大豆が落ちて、小麦が3番目に多いのアレルゲンとなっています。大豆はアレルギーを起こしにくい食品になってきていると思います。このお子さんは、小麦は検査されておりませんでした。

この患者さんは、大豆は「2」か「3」でしたが、母はいつのまにか食べさせてしまっていました。それでも何も起きなかったのです。またミルクも普通ミルクを飲んでいましたので、除去をする必要はなかったと思います。

驚いたのが、魚はマグロを食べてアレルギー症状が出た訳でもないのに、なぜかマグロだけ調べて、それが陽性だったためマグロのみを除去していました。当院を受診された時に、魚について訪ねてみると「マグロ以外は、ぜんぶ食べられる」ということでした。

私の認識では、マグロが一番アレルギーを起こしやすい魚ではないはずです。私であれば、マグロが陽性であれば、他の魚でもアレルギーを起こす可能性を考え、別の機会に他の魚についても検査を行ったことでしょう。最近は、小児の間でも魚アレルギーが増えており、多種の魚でアナフィラキシーを起こし得るのです。魚に関しては、皮膚テストが有効とされており、総合的な判断が必要になります。

魚アレルギーの中で、マグロだけが食べられないということは、あまりないことだと思っています。母に聞くと、「マグロだけは食べないように、一生懸命避けていた」ということです。本当に気の毒に思えてしまいました。多分、ミルクや大豆のように検査だけ高かったのではないかと考えています。

そこではアレルギー検査は、すぐには変化しないから1年後に検査を勧められていたそうです。ということは1年間も何種類もの食品を除去し続けるということですよね。2~3ヶ月ごとに検査する医師もいますが、それこそあまり変わりありません。専門医の間では、幼児では6ヶ月くらい空けることが多いと思います。

食べて、アレルギー症状が出てしまったのなら、患者さんを危険な目に遭わせる訳には行きません。数ヶ月は除去するという慎重な姿勢が必要ですが、検査だけで除去を判断されている場合は、なるべく食べられるように努力すべきなのです。

いつも言っている通り、食べないよう指示を出すのは簡単です。小児科医も逆の立場になれば、いとも簡単にそういった指示を出すことに抵抗を感じなければならないと思います。根底には除去していればいずれ治る、という気持ちがあるのだと思います。アレルゲンによっては治らないだろうと思うものもあり、その中で「いかにより良く食べさせるか」を追求していく姿勢が小児科医には求められるのではないでしょうか?。

当院にはこういった患者さんが数多く受診されます。前医の先生をどうこう言うつもりはないですが、患者さんは転居しておりますので、当院での治療経過を知る由もないと思います。患者さんにとってベストは「食物負荷試験」を行って、無駄な除去を速やかに中止することです。負荷試験ができなければ、できる小児科医に紹介するのが、良心的な対応だと思います。専門医はこう治療しているという今の方針を知る機会があるといいのですが…。

前出の患者さんも、上越に越してきて別の小児科、アレルギー科に行っていたそうですが、当院にくれば食べられるようにしてもらえるとウワサを聞いて受診されたそうです。地元では少しずつ浸透してきたと思い、ちょっと嬉しくなってしまいました。次回受診された時に、アレルギー検査の検査結果をもとに、マグロなどの負荷試験の打ち合わせを行う予定です。

新潟県の食物アレルギーの患者さんの大半は、「食物負荷試験」のことを主治医から説明されておらず、アレルギー検査のみで食べられるかどうかを判断されている方が多いと思います。来月の「すこやか健康フェア」は、食物アレルギーでお困りの患者さんやこどもを扱う職種の方が大勢集まってくださると思っています。困っている人々に誤解を解き、正しい認識を持って頂けるビッグなチャンスなのです。この週末も家族とゆっくりしたいところですが、イベントの準備に余念がありません。

患者さんが「食物負荷試験」の存在を認識すれば、食物負荷試験をやろうという小児科医が増えてくることを期待しています。もしくは、できる医師に紹介状を書いて下さるようになるのではないかと思います。必要のない除去をなるべく早く新潟県からなくしたい、それが当院の願いです。