小児科 すこやかアレルギークリニック

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“理論”通り
2008年09月23日 更新

当院には、毎日初めて受診される患者さんがいらっしゃいます。

私は専門施設で修行させて頂いてきたので、アレルギー専門医としての恥ずかしい治療はできないという思いは強く持っているつもりです。なるべくは医学的な根拠に基づいた治療を行っています。

下越の某市から引っ越してこられた患者さんが、当院を受診されました。独特の“理論”のもとに治療されていましたが、残念ながら症状は改善していませんでした。

「アレルギーマーチ」という言葉があります。赤ちゃんの時にアトピー性皮膚炎を発症し、のちにぜんそくも発症に、さらにアレルギー性鼻炎も合併してくるというものです。つまりアレルギー体質があると、次々とアレルギーの病気が行進するように発症してくることを指しています。

以前は、幼児期にぜんそくが出て、学童期にアレルギー性鼻炎が出てくると言われていました。今はアレルギー性鼻炎の発症も低年齢化していると言われており、園児でもみれれることがあります。タイミングが早まってきているのです。またぜんそくも昔よりは治りづらいと言われています。しかし、その先生の“理論”は「ぜんそくが落ち着いてきたら、鼻炎の治療に移ればよく、そうすればぜんそくが治る」というものでした。多分、以前はぜんそくが治りやすいと言われていたので、思春期に軽快していき、徐々に鼻炎を合併してくるため、そういう“理論”になったのだと思います。

そういう話は聞いたことがないので、ビックリしました。アレルギーが体質の重症な患者さんはぜんそくも鼻炎もなかなか治りません。軽いぜんそく患者さんを診ていて、そう思い込まれていたのかもしれません。

この患者さんの治療は、フルタイドという吸入ステロイドが使われていましたが、ちょっと使ってはすぐに止めてしまい、発作を繰り返していました。その先生は“理論”通りに鼻炎の治療に移りたがっていたそうです。

私の「理論」が正しければ、ぜんそくは発作を起こさないようにキチンを管理すべきです。ぜんそくは発作を繰り返して、より発作を起こしやすくなりますので、発作を止めて安定した状態を作り出さなければならないはずです。鼻炎の治療も必要に応じて、内服なり吸入なりで行うべきでしょう。この患者さんのぜんそくも決して軽いとは言えず、運動すると咳き込みが強く、運動誘発ぜんそくも抑える治療がなされていませんでした。だからこそ“理論”通りにいっていなかったと言わざるを得ません。

お母さんとはその時に初めてお会いしましたが、アレルギーマーチについて、ぜんそく治療について、運動誘発ぜんそくについてなどなど時間をかけてじっくり説明できたと思います。すっかり信用して頂けたようです。お母さんの話では、転勤が多く、主治医が変わったそうですが、治療方針もコロコロ変わって戸惑ったそうです。小児科医でアレルギー科を名乗る先生なのに、どうして治療方針が異なってしまうのかと疑問に思っていたそうです。本当なら、小児ぜんそくのお薦め治療を書いたガイドラインに則って行えば、方針は誰が行って同じはずです。

ようやく地元に帰れて、もう転勤はないそうです。「今日からキッチリ治療して、安定した状況を作る治療をしていきましょう」とお話ししました。患者さんは、症状を改善させたくて一生懸命通院されているのです。プロなら基本に忠実に正しい理論に基づいた医療をすべきだと思います。私の普段行っている治療もいずれ時代遅れになると思います。患者さんのために、新しい治療についていけるよう努力をしていかなければならないと思っています。