小児科 すこやかアレルギークリニック

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ほとんど起きない!?
2008年09月27日 更新

食物アレルギーの患者さんが、重い症状を起こすとだいたい開業医でなく、病院に行かれると思います。

となると医院の先生と病院の先生では、アナフィラキシーなどの重症な食物アレルギーの症状に接する頻度は大きく変わってくる可能性があります。「アナフィラキシーはほとんど起きない」とおっしゃる開業の先生もいらっしゃいますが、果たして本当でしょうか?。

1998~1999年に我が国で初めての食物アレルギーに関する大規模調査が行われました。何らかの食物を摂取後60分以内に症状が出て、病院(医院ではありません)を受診した患者さんの年齢や原因食品、症状を調べました。それによると0歳が圧倒的に多く、1歳、2歳、3歳と続きます。食品は鶏卵、乳製品、小麦、ソバという順位でした。症状は皮膚、呼吸器、粘膜症状と続き、何とショックもみられていました。

アレルギーがあれば食べないようにするので、この調査で日本の食物アレルギー事情をすべて反映している訳ではないのですが、少なくとも傾向は分かるはずです。注目すべきはショックの頻度でしょう。11%もあります。ということは、食物アレルギーでアナフィラキーはほとんど起こさないというのは正しいとは言えないと思うのです。医院は夜間はやっていないので、病院に行かざるを得ないし、患者さんも重症と思うと病院に向かってしまうからでしょう。

私は、医師も患者さんも食物アレルギーを軽くみて欲しくないと思っています。当院には、食物アレルギーの患者さんがたくさん受診されます。全身じんましんやゼーゼーいって呼吸困難になるお子さんから生命に危機を及ぼすような重い症状を過去に起こしたことのあるような方もいらっしゃいます。11%という頻度にはさほど驚きません。

日中であれば、当院にもアナフィラキシーの患者さんは駆け込んで来られます。入院が必要なくらい重症な患者さんは、病院に紹介するしかありませんが、そんな時でも医院レベルで適切な対応ができるよう心の準備はできているつもりです。

「卵アレルギーは卵黄から食べさせて、卵白も徐々に試せば大丈夫」なんていう小児科医もいますが、重症な患者さんを診ていると簡単には言えないと思います。ましてや自宅で試すようにと言うのは、それだけ卵に恐怖心をお持ちの親御さんにかける言葉としては適切ではないと思います。

先日、某市から受診された卵アレルギーのお子さんは、以前卵料理を食べてアナフィラキシーショックを起こしたそうです。土曜だったこともあり、かかりつけ医でなく総合病院に入院して治療されたとのことです。そのエピソードから2年くらい経ったのですが、その間アレルギー検査は繰り返されていました。

つい最近の検査でも「4」だったのですが、かかりつけ医で加工品の負荷を行って下さったそうです。普段、負荷試験をやられていない先生だと思います。何もなかったから良かったのですが、こういう重症な患者さんこそアレルギー専門医に紹介して欲しいと思っています。園の先生が私のことを知っていて、当院を勧めて下さったそうです。

話をよく聞いてみて、私でも念には念を入れて負荷をしないといけないと思います。以前、ショックを起こしたとは言え、いずれ食べられるようになる可能性は高いのです。卵を口にすることは患者さんの人生において避けては通られず、お母さんも私に期待して下さっています。症状が出てしまうかもしれませんが、軽い症状ならお子さんの苦痛も少ないし、限界がハッキリと分かります。「この子に負荷をするのは、私以外に誰がいる」と思い、卵そのものの負荷試験を引き受けました。

食物アレルギーで食品を除去している場合、解除が問題になります。誰かがリスクを負って食べさせることになると思います。県内ではこれまで負荷試験がほとんど行われていなかったため、私の推測ではほとんどのケースでその役を親御さんが担っていたと思います。親御さんはどの食品でどれだけの量を、どれくらいの間隔で食べさせるのか、全く分からないと思います。そのことは、実は専門医の間でも定まっていないのです。中には最初から多めに与えてしまい、アナフィラキシーを起こしてしまった患者さんもいるはずです。

食物アレルギーの専門的な知識を少しは持ち合わせているつもりですので、こういう患者さんのために手助けができたら、どんなに嬉しいことだろうと思っています。今回のケースのように患者さんに直接受診して下さるのも構いませんが、同業者の先生にも是非とも紹介して頂きたいと思っています。