当院が開院して1年になりますが、待望のアレルギー専門医院ということで、アレルギーの患者さんがご指名で受診されています。
みていると、開院最初はぜんそくが多く、その後にアトピー性皮膚炎でした。食物アレルギーの患者さんが思ったより多くなかったのですが、最近はかなり増えてきました。連日のように2~3人は食物負荷試験を行っています。
患者さんは、ここ1ヶ月でも上越市内はもちろんのこと、妙高市、柏崎市、長岡市、魚沼市、三条市、新潟市などからも来られています。私が福岡で学んできたこだわりの技術が、新潟県で少しずつ広がってきていることに喜びを感じています。
昨年の11月に卵アレルギーのお子さんに卵焼きの負荷試験を行いました。卵アレルギーの負荷試験には、Mサイズの卵を茹でて使用することが多いのですが、ゆで卵が食べづらいお子さんもいるので、当院ではしっかり火を通した卵焼きを使っています。当日は手違いで3分の1個しか持って来られなかったので、それを負荷することにしました。
それを分割して、少しずつ負荷してみましたが、医院では症状は出ませんでした。しばらく医院で待機して頂きましたが、何ともなかったので「3分の1でも食べられて良かったね」と言って帰って頂きました。しかし、そのあと事件は起きました。自宅に帰る道中にじんましんがポツポツと出だし、広がってきました。医院に戻った頃には体に広めにじんましんを認め、咳き込みもありました。吸入など処置をして事なきを得ました。
こういうことが負荷試験では起き得るのです。過去にアレルギーを起こしたものを食べさせてみるので、当然のことですが症状が出てしまうこともあります。しかし、症状が出て初めて、そこで限界がハッキリと分かるのです。患者さんには少し辛い思いをさせてしまいましたが、卵焼きはまだ食べてはいけないことが明確になったのです。
それから約10ヶ月が経ち、お母さんと相談した上で、先日もう一度卵焼きにトライしてみました。今度は卵1個を使った卵焼きを用意して頂きました。前回のことがあるので、慎重に丁寧に負荷を進めました。少しずつ増やして、1個を完食!。1個食べたのは事実ですが、食べてしばらくして、体にポツポツと蕁麻疹が数個出始めました。しかし、10ヶ月前ほどの症状は出ませんでした。
症状が出ないに越したことはなかったので、残念な結果と言えば残念なのですが、冷静にみると確実に卵アレルギーを克服しつつあるのが、見て取れます。先回よりも3倍多く食べても軽い症状で済んだからです。食物負荷試験は、実際にやっている医師にしか分からない“感覚”があります。次回には卵焼きの負荷試験はクリアするのではないかと思っています。
アレルギー検査の結果で食物の「除去」を指示する医師が多いですが、それは仕方ないと思っています。検査の値が高ければ高いほど、食べて症状が誘発される可能性が高いからです。しかし、「除去」を指導するなら「解除」もその医師がすべきだと思います。
当院に負荷試験に来られる患者さんの親御さんは、どの方も希望を持って受診されます。そして大半の患者さんは「解除」が可能となり、喜んで家路につきます。その笑顔のためにも、当院は外来での食物負荷試験を新潟県内に広げていかなければならないと思っています。


