ぜんそくを発症しやすい年齢は1歳が最多で、治っていくのは12~13歳が多いと言われています。
現在では、小児ぜんそくは5~6割しか治らないと言われていますが、治るとしても単純に考えて10年以上の経過がある訳です。
当院には市内外を問わず、アレルギーの患者さんが受診されていますが、疑問を感じざるを得ない対応をされている患者さんが受診されました。
1~2歳頃にゼーゼーを繰り返し、前主治医からぜんそくと診断されたそうです。当時はゼーゼーいうとぜんそくの治療をしてもらっていたようですが、ここ最近はゼーゼーいっても、“風邪”と診断され、ぜんそくの治療をしてもらえなかったそうです。
冒頭に述べたように、小児ぜんそくはそう簡単には治りません。今は幼稚園に通う年齢ですが、園でもらった風邪などを引き金にして、ぜんそく発作を起こしやすいのです。なぜ以前はぜんそくと的確に診断していたのに、現在は“風邪”と診断されるのか、とても不思議です。
お母さんも、なぜそういう対応になるのかを知りたいと思って前主治医に聞こうとしても、診察が終わるとあっという間に診察室を出されてしまうので、何も聞けなかったのだそうです。
強い咳き込みをしていてゼーゼーしていれば、ぜんそく発作ということは研修医でも分かります。素人であるお母さんも気付いていたくらいです。その先生が、何故そんなことをしているのかは私には分かりません。いくらスピーディな診察を心掛けていても、こういった“診断”をしていれば、評判は落ちてしまうはずです。信用商売の医師にとってメリットは全くと言っていい程ないはずです…。
一般的に、小児科は“薄利多売”です。つまり、内科と違って、たくさんの患者を診なければ売り上げは上がりません。一人当たりに時間をかけ過ぎないこともコツのひとつでしょう。ぜんそく発作では「再診料」しか医院に入ってこないので“風邪”を診た方が、より高い「初診料」が入ります。経営面でみれば“風邪”を多く診るのが有利な方法といえると思います。
確かに、医院も慈善事業ではないので、生きるためにも、スタッフに人件費を払うためにも、効率のよさは必要でしょう。しかし、いかに一人当たりの時間を短くするかなど経営を重視した診療をしていると歪みが出てきます。みんなが軽症ではないし、時間をかけるべき患者さんも少なくないからです。更に親御さんは可愛い我が子の病気について知る権利があるし、主治医も説明する義務があると考えています。
この患者さんのお母さんは、困り果てて当院を頼りに受診して下さいました。当然ですが、ぜんそくと診断しました。残念なことに、これまで発作を繰り返していたのでかなり重症化していました。これまでの遅れを取り戻す意味でも、キッチリと治療していく必要があると伝えました。
ぜんそくは夜に症状がみられることが多いため、私がいつも診ていられる訳ではありません。お母さんがぜんそくという病気を正しく理解し、受診した時にどんな状況かを正確に教えてもらわないと、適切な治療につながりません。お母さんには「疑問点は何でも聞いて、お子さんのためにぜんそくという病気を理解して頑張っていきましょう」と話しました。「いえ、大丈夫。うちに通院している患者さんは皆そうしていますから」とも付け加えました。
病気が治らない方が何度も通院してくれて利益が上がってしまうというシステムは早急に見直されるべきです。極論すれば、勉強しない方が儲かるということになってしまいます。医療機関によっては、求めるものは異なるのかもしれません。当院にとって経営も大事なことは否定しません。でも、それは二の次です。医療は医師と患者の信頼関係の上に成り立つもので、横しまな気持ちがあってはなりません。
私はアレルギーで困っている患者さんに、最良と考える治療をしていきたいと思います。症状が安定せず苦しんでいる患者さんはまだまだ多いはずです。当院は、これからも「治ることを重視した医療」を優先して、地域医療に貢献していきたいと考えています。


