小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

診断の重み
2008年10月22日 更新

最近は、以前よりもぜんそくの新規受診の方が多いです。

他の医療機関に通っても良くならないという患者さんもいらっしゃいます。いろいろ聞きたくても診察が終わると部屋を出されてしまい、何も聞けなかったというような患者さんも受診されます。当院に期待を寄せて受診されているようで、その期待に応えたい、常にそう思っています。

そういう患者さんは、経過も長いことが多いですし、前医の時に聞けなかったことを聞く気満々で受診されますので、一人当たりの診察時間はかかってしまいます。ただ、私自身は期待されると燃えてきますので、つい話し過ぎるきらいがあります(汗)。でも、誰が診ても治る患者さんを診るよりは、自分が専門的知識を駆使してキチンと診断して治療させてもらうことの方が好きかもしれません。

ある医療機関で長引く咳で治療してもらっていた患者さんが、当院に来られました。お薬手帳を見ると「フルタイド」という吸入ステロイドを処方されていました。これは小児ぜんそくの治療としては切り札的な薬です。しかし、「ぜんそくと診断されたのはいつ頃ですか?」と聞くと、「“ぜんそく性気管支炎”としか言われていません」という返事でした。

“ぜんそく性気管支炎”という診断をされた患者さんも多いでしょうが、実に曖昧な診断名だと思います。読んで字のごとく、「ぜんそくみたいな気管支炎」という意味です。専門でない先生はそう診断したがるし、専門医ほど使わないように思います。そもそもフルタイドは「気管支ぜんそく」としっかり診断された患者さんに使うべき薬です。

親御さんにとって「ぜんそくです」と言われるのと「ぜんそく性気管支炎でしょう」と言われるのは、重みが全然違うと思います。確かに「ぜんそく」とは診断されたくないというのも親心でしょうが、曖昧な診断のままだと咳が続いてもつい軽く考えてしまい、咳を長引かせてしまいます。「ぜんそく」はそうしているうちに悪化してしまうのです。結局は、曖昧にしていて良いことは何もないと考えています。

ある先生から聞いた話ですが、ある小児科で治療しても咳が長引いてよくならなかったので、他のアレルギー科の先生のところを受診したそうです。いろいろ話を聞いて確信を持ったので「ぜんそくでしょう」と診断したら、「うちの子はぜんそくじゃありません」と言って元の小児科に戻られたそうです。

1~2年して、症状を繰り返したのでしょう、「やっぱりぜんそくでした。こちらで治療して下さい」とアレルギー科の先生のところでの治療を希望されたそうです。お母さんの気持ちも分からなくもありませんが、1~2年も治療が遅れてしまったのです。これは治療に関しては大きな痛手となってしまいます。と同時に、専門医と専門でない医師の間には、診断の実力に差が出てしまうことも表しているエピソードだと思います。

やはり「的確に診断して、適正な治療をする」、それが基本だと思っています。当然、「ぜんそく」と「風邪」では“診断の重み”が違ってきます。「ぜんそく」と診断したからには、診断した小児科医に責任が生じます。説明責任と治療責任です。「ぜんそくっぽい」とか「気管が弱い」という医師もしますが、かわすことなく毅然と立ち向かうべきでしょう。患者さんも納得いかなければ、納得できるまで質問すべきです。また診断が的確なら、キチンと治療すれば改善してくるはずです。

専門医なら長くみても1ヶ月もあれば症状は軽快させられるはずです。良くならなければ、なぜ良くならないか、今後の治療の見通しを主治医にたずねるべきです。診断も治療も質問の答えも曖昧なようなら、セカンドオピニオンの意味も含めて、別の小児科医に相談するのも手かもしれません。いずれにしても、ぜんそくの症状はなるべく早く改善するよう努力すべきだと思っています。