自分で言うのも何ですが、ここまで食物アレルギーにこだわった医療をやっている小児科は、県内には存在しないのではないかと思います。
「食物負荷試験」を外来でやっているので、困っている患者さんが集まらないはずはないのですが、市内外から受診があり、連日のように負荷試験を行っています。
お母さんが、ある小児科に食物アレルギーの相談に行ったところ、「検査なんて当てにならないから、家で食べさせなさい」と言われたそうです。果たして本当でしょうか?。
年齢が上がってると、検査の信憑性が低下してきます。それは事実です。しかし、私の診ていたミルクアレルギーの患者さんは小学校生なのに、気をつけていたものの、時々乳を含む加工品を食べては全身を真っ赤にして、その度に私の元を受診されていました。このお子さんは9歳くらいだったと思いますが、アレルギー検査でミルクを調べると陽性です。
検査は当てにならない訳ではないし、家で間違って食べてこんな状況です。病気は軽症から重症まであります。軽ければ、アレルギー検査とのズレがあるでしょうし、重ければ、この患者さんのように乳に対する過敏性はなかなか取れません。軽症から重症まであるのに、一律に「当てにならないから食べさせろ」では乱暴すぎます。
また「2歳になったら、(自宅で)食べさせるように」という小児科医がいますが、これもどうかと思います。2歳の根拠はどこにあるのでしょうか?。確かに成長とともに徐々に食べられるようになりますが、先ほどのケースのように8歳でもわずかな混入で強い症状を起こしてしまいます。これも重症な患者さんを軽症と混同しているような発言です。医師は、医学的に正しいことを患者さんに言ってあげなければならないと思うのです。
患者さんにとって、医師の言葉はとても重いのです。あまり安易なことは言って頂きたくない、そう思います。食物負荷試験を専門的にやっている先生は、不用意な発言はしないと思います。
先日、初診された患者さんは、重症な食物アレルギーのお子さんでした。病院に通院されていましたが、アレルギー検査を数ヶ月ごとにするだけで、具体的な食事の説明もなかったそうです。周囲に相談できる友達もおらず、お母さんはこれまで孤軍奮闘されていたようです。つまり、我流で食事の対応をされていたのです。
当院にかかってからは、これまで食べられるかどうか定かではなかった小麦の負荷試験を行い、食べられることを確認しています。これから気持ちも新たにどんどん食物アレルギーについて勉強して頂こうと、今月の勉強会も食物アレルギーネタにしたのです。
今回の内容は、卵、乳、大豆、小麦、魚類、甲殻類、果物、ナッツ類などのアレルゲンの特徴を解説したいと思っています。多分、市内外から勉強熱心なお母さん方が集まると思うので、孤独に頑張ってきた先の患者さんと顔合わせもできると考えています。
こういう一朝一夕には治らない慢性の病気は、「頑張っているのは自分一人じゃない」と考えることは大切なことだと思っています。食物アレルギーの患者さんは、ぜんそくやアトピーの患者さんよりも少ないのですが、逆にプロとして支えてあげなければならないと思っています。こういう患者さんとの関わりは、小児科医なら誰でもできる訳ではないですし、細々でも続ける努力は貴重なのではないかと信じています。


