先日、皮膚症状が良くならずに、それを食べ物のせいだと信じて1歳半近くまで母乳とおかゆしか食べていなかったお子さんの話をしました。
食べ物に関しては小児科で、皮膚は皮膚科に行かれていたようです。卵にわずかに反応が出ているのを、食物アレルギーと診断してしまうのは、間違いの元です。その辺りは皮膚科の先生は専門外なので、小児科医がキチンと説明しないといけないのですが、小児科医の知識の豊富さや専門医かどうかで差が出てきてしまいます。この患者さんの場合は、ファーストコンタクトで誤解が生じしてしまったのだと思います。
先日、当院を再診されました。皮膚は良くなったとビックリされていました。私は特別なことはしておらず、アトピー性皮膚炎と診断して、その病態にあった治療をしただけです。
何よりお母さんの表情が明るいのに、私も気付きました。すっかり私を信用して下さったようで、私の説明を全面的に受け入れて下さいました。つまり、何ヶ月も前から本来食べられていたはずの野菜や豆腐、肉類、魚類などの徐々に食べさせることを了解して下さいました。
かといって、お母さんもいきなりいろいろ食べさせるのは怖いでしょう。離乳食も、最初は米と野菜が基本なので、野菜から始めるように指導しました。実は野菜も、重症なアレルギーがあるとアトピーを悪化させてしまいます。せっかくお母さんがいろいろな食品を与えることに前向きになって下さったので、失敗は許されません。アレルギーを起こしにくい野菜から食べさせることを提案しました。
栄養面も、食べる練習という意味でも、これまでの遅れを取り戻せるよう適切に指導していかなければなりません。でもこの患者さんは遅めではありますが、ようやくスタートを切れたのです。
日頃から外来をしていると、あれっと思うようなことを言う患者さんに出会います。「卵アレルギーがあるからインフルエンザワクチンを受けたことがない」というのは少なくないですが、「ぜんそくがあるとインフルエンザワクチンを打てない」、「卵アレルギーがあると鶏肉もダメ」、「卵アレルギーがあると魚卵もダメ」、「アトピーの患者に石けんは使わない」などなど挙げたらきりがありません。これは患者さんが言っているものもあれば、医師が指示しているものもあるのです。
患者さんひとりひとりに適切な治療を受けて頂くために、地道に努力していくしかないのだと思います。


