13、14日と横浜で日本小児アレルギー学会が開催されました。
小児アレルギーに専門的に取り組んでいたり、興味のある先生は必ずと言っていい程、参加される学会です。私も発表を行ってきました。
福岡の病院で学ばせて頂いた者として、学問を追究する姿勢は大切だと思っています。私よりも知識のあるような日本の第一人者の先生もいる中で、自分なりの臨床や研究について発表するのは緊張するものです。人前で話をするのが得意でないので、発表しない方が楽なのです。しかし、充分勉強していないと学会発表なんてできないのです。また、お世話になった恩師の先生も私の発表する姿を見て「田中は頑張っている」、一人前になったと認めて欲しいと考えているところもあります。そうすれば、丁寧に教えて頂いたことへの恩返しになるとも思っています。
一度さぼってしまうとズルズルいってしまいそうで、自分のモチベーションを保つ意味でも学会活動は続けていこうと思っています。ちなみに来年は福岡で開催されますが、もうどういう発表をしようか構想は練り始めています。
さて、小児アレルギーの病気はぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがありますが、いま最も注目されているのが「食物アレルギー」です。私の恩師も含めた食物アレルギーの専門医が、非専門医の先生でも行いやすくするために世界に先駆けて食物負荷試験の方法の標準化を進めているのです。これまでは、一部の専門家が、各々独自の方法でやってきたのです。それを標準化するとなると、とても画期的と思います。来年には公表できるのではないかということでした。
そういうこともあるのでしょう、普通の小児科の先生の間でも、食物アレルギーをもっと勉強しようという機運が高まっているように思います。食物アレルギーを扱う会場はどこも立ち見の出る程の盛況でした。新潟県からも何人かの参加がありましたが、下越の先生がほとんどでした。
今回の学会でも、アレルギー検査の値だけで食物アレルギーと判断されているケースがあまりにも多いことが指摘されていました。講師の先生が言われていたのは、「学会に参加されている先生は向上心を持って勉強しているので、検査だけで判断してはいけないことを知っているが、学会に参加されていない先生にどう理解してもらうかが大切だ」ということでした。学会に出ていない先生が皆そうとはいいませんが、もっともな話だと思います。
残念ながら、標準化された方法ができても、小児科医の全員がやるとは思えません。そりゃ、食物アレルギーを診ていない小児科医はいないと思うので、すべての小児科医ができるのが理想です。しかし、負荷試験の難しいところは、相当にエネルギーを持っていないとできないことだと思います。また、誰かに直接教えてもらわないと、いざ不測の事態が起きた時に対処が難しいと思うのです。若い先生ならやってみようと思う人も出てくるかもしれません。
私がアレルギーの専門だからかもしれませんが、食物負荷試験は医師の良心というか情熱が必要な検査だと思います。とくに卵は負荷して食べさせなくても、自然に治ってしまう可能性があります。下手に行って強いアレルギー症状を起こさせてしまったら、ご家族とのトラブルの種にもなりかねません。専門医は「なるべく制限なく食べさせてあげたい」と願って、食物負荷試験をやろうとしているのです。良心以外の何物でもないと思うのです。
現在、新潟県内で継続的に負荷試験を行っているのは、新潟市民病院と当院とあと数施設くらいでしょうか?。新潟県は広いので、これくらいの施設だけでは到底患者さんをカバーしきれません。負荷試験を行う施設が増えてくれることを願うし、行っていない開業医や病院が専門の施設に紹介するシステムが整わない患者さんにとってメリットのある診療スタイルは確立しないと思っています。患者さんのために、開業医も含めた医療機関の連携が求められているように思っています。
ちなみに愛媛県では、県内の何カ所かの施設で負荷試験を行う体制を取っており、一定の成果を上げているようです。ここ新潟県でもそういう機運が高まらないといけない、今回学会に参加してそう思わずにはいられませんでした。


