小児科 すこやかアレルギークリニック

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私はお節介
2008年12月22日 更新

「私はお節介なのかもしれない」と思うことがあります。

だいぶ前の話ですが、当院に隣の県の小児科の先生からの紹介状を持って受診されたアトピー性皮膚炎の患者さんがいました。

地元の方だったのですが、隣県まで通院されていたそうです。主治医の先生が異動になってしまい、更に遠い病院へは通えないため、地元にアレルギーの専門の医院ができたのをご存知で、では当院に行ってみようと考えて下さったそうです。

親御さんは、ステロイドを嫌っていらっしゃいました。紹介状をみても保湿剤のみの治療でした。主治医に使わない治療を希望されたのだと思います。実際に診察してみると体幹を中心に皮膚炎があり、皮膚が黒ずんでおりました。

当院はどの小児科よりもアトピーの患者さんが多いと思います。軽症から重症の患者さんまで対応しています。ステロイドを使えば、症状を良くできると確信を持ったため、初診時のお父さんとお母さんにステロイドを使って治療をさせて頂けないかと、説明を始めました。

ご両親はステロイドについて結構知識をお持ちでしたが、周囲から聞いた情報を本当かどうか確かめずに、ステロイドに対して嫌悪感を持っているように感じられました。親御さんが“誤解”したまま、お子さんが適切な治療を受けられないことは悲しいことです。これまで何度も“誤解”を解いてきましたので、説明には慣れています。45分くらい説明したでしょうか、最終的にはステロイドを使う許可を頂きました。

もしかしたら、大抵の小児科や皮膚科では「じゃあ、ステロイドを使わないで治療しましょう」とあっさりと保湿剤を処方することが多いのではないかと思います。私の場合は、このままではお子さんがかわいそうだと思い、「説得」させて頂きました。そしてご納得頂いたのです。

お子さんの症状に合った薬を選択し、1週間後に受診して頂きました。私の予想通り、かなりの改善を示していました。お母さんの表情もほころんでいます。その後の経過はステロイドをほとんど使わずに、それこそ保湿剤のみで対応できています。お母さんも「ステロイドを使って良かった」というようなことをおっしゃっています。

また、お子さんが卵製品を食べて強めのアレルギー症状を起こしてしまうと、真面目なお母さんほど卵を食べさせないという方針をお持ちになります。往々にして完全除去といって、卵を含む食品はすべて除去されています。今後どうしたらよいかと、当院に相談に来られます。

当院は、食物負荷試験のやっている件数は県内トップクラスだと自負しています。そのお子さんのアレルギー検査の値や、どんな食品でどんな症状が出たか、その後の経過を丁寧に問診すると、どれくらい食べられるかどうかの見当が付きます。お母さんやお子さんにとって、無駄に除去を続けるメリットはありませんし、ご家族の精神的負担を増やすだけです。卵に対する恐怖心は残っているものの、ここでもやはり時間をかけてお母さんを「説得」しています。

親御さんを「説得」するには時間がかかるし、理論的に説明をしなければなりません。患者さんが多く受診する外来では、時間を取られます。診療も止まるし、他の患者さんの待ち時間が長くなります。医院にとってもメリットはないのかもしれません。

でも、私はこれまで「説得」し続けてきました。患者さんに医学的に正しいことをやってあげたい一心で行っています。患者さんは素人なので、さまざまな情報が手に入りやすい現代社会において、場合のよっては間違った情報に翻弄されている場合もあるでしょう。それを正すのが、「プロ」としての本来あるべき姿だと思っています。

治療方針を決定するのは患者さんご本人です。しかし、小児科の場合、まだこどもなので親御さんが決定者になります。お子さん自身は適切な医療を受ける権利を持っているので、親御さんが誤解している場合は「説得」するしかないのです。

ついでに言うならば、こどもは点滴が大嫌いです。熱が出たり、マイコプラズマだったり、ぜんそく発作で点滴を繰り返す医師もいるようですが、私は必要最小限の患者さんに行っているつもりです。小児科医として、こどもの嫌う治療をしないようにする努力も必要だと思うのです。

当院はどの小児科よりも点滴は少ないのではないかと思っています。その結果、当院の患者さんがこじれて入院目的で病院に紹介しなければならないケースが多いかと言えば、決してそうではないのです。点滴を好むお母さんには、私が必要がないと判断すれば「説得」して治療を行わせて頂いております。

ステロイドにしろ、負荷試験にしろ、私の「説得」に応じて症状が良くなったり、無事に食べられたりすると、患者さんは私を信用して下さるようになります。そうやって、かかりつけの患者さんが増えてきたように感じています。

お節介かもしれませんが、これからも患者さんに正しい、必要な医療を受けて頂けるよう努力していこうと思っています。