先日、10か月の乳児健診に初めて当院を受診された赤ちゃんがいました。
乳児健診の時は、「ハイハイができる」とか「つかまり立ちができる」というような問診に○をつけてもらい、おおよその発達状況をチェックできます。
ほとんどの項目は○でしたが、たった一項目だけ×が付いていました。それは「離乳食が順調に進んでいますか?」という問いの箇所でした。この項目は、離乳食が思うように進んでいないと×をつけるお母さんがたまにいらっしゃいます。気になって話を聞いてみると、単純なものではありませんでした。
卵と乳製品は、食品の中ではアレルギー症状を起こしやしい1位、2位を占めています。以前、乳製品を与えた時に皮膚が赤くなったらしく、お母さんはミルクアレルギーがあると考えてしまったようです。
前主治医にそのことを相談したのかどうか定かではありませんが、アレルギー検査も行われていませんでした。皮膚が赤くなった時の状況をお母さんに聞いてみましたが、ミルクアレルギーと診断できるかどうかの微妙なものでした。結局、ミルクアレルギーかどうか分からないまま、離乳食で与えるべきミルク以外の食品もつい怖くなってお粥しか食べさせていなかったようです。
以前、小児科医から皮疹と食べ物の関与を指摘されて、1歳半近くになっても母乳とお粥のみしか食べていないお子さんの話をしました。ほぼ同じ状況ですよね?。最初の患者さんから2週間も経っていないのです。ということは、アレルギーを心配するあまり離乳食を進められないお母さんは、結構多いのかもしれません。
共通しているのは、真面目なお母さんであるということ、医師も含めて周囲に相談できずひとりで悩んでいるということが挙げられます。このお母さんの場合、「離乳食が順調に進んでいますか」のところのチェックに私が触れなければ、そのまま健診が終わっていたのかもしれません。
お母さんは私が離乳食について聞かなければ、自らは語らないような雰囲気でした。私も食物アレルギーを専門的にやっていると、離乳食の進め方にはちょっとこだわりがあるし、ましてやアレルギーが心配となると、丁寧に相談に応じなければなりません。
ミルクアレルギーの存在は定かではないので、赤ちゃんにはちょっとかわいそうですが、採血でアレルギー検査をさせて頂くことにしました。あとは皮膚テストもやってみて、ミルクがアレルギーを起こしやすいのか精査をしたいと思います。前回もそうですが、本当はミルクに比べたら野菜や豆腐、魚などはアレルギーを数段起こしにくいので、順調に進めていってもよさそうです。
心配性なお母さんには、ある程度客観的なデータを示す必要があると考えています。アレルギー検査の結果を確認してから、離乳食の進め方について相談することにしました。
初診ですから、その時がお母さんとお会いするのは初めてでした。お母さんにとっては私がどんな人間かはまだよく分からず、聞きやすそうかどうか心配だったのだと思います。最初は遠慮がちにされていましたが、徐々に話して下さいました。ちょっと前の経験を話すと「うちと同じじゃないですかー」と話していました。
本当に心配で食べさせられないのなら、負荷試験のように医院で少しずつ食べさせて反応をみる方法もあるとお話ししました。一人で悩んでいるお母さんの力になれそうで、私も嬉しく思っています。小児科医は風邪などの病気を診るのも仕事ですが、こういった不安に対応するのも大切だと思っています。
世の中には不安が先立ち、離乳食を進められないお母さんがごく一部とは言え、いらっしゃるのです。こういう患者さんをピックアップして丁寧に対応する必要があります。たまたまかもしれませんが、前回は予防接種の時間帯、今回は乳児健診の時間帯に受診されています。こういう心配があれば、健診や予防接種の時間でなく、遠慮なく一般外来でもいいですので、ご相談下さい。


