小児科 すこやかアレルギークリニック

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年賀状
2009年01月02日 更新

ある患者さんから年賀状が届きました。

当院は県内では数少ない「食物負荷試験」の実施施設です。昨年も100件くらいの負荷試験を行っています。私自身が卵などのアレルゲンを食べないようにと指導したものも一部ありますが、大抵の患者さんが他の医療機関で「卵アレルギーがあるので除去するように」とか「ミルクアレルギーなので乳製品は一切口にしないように」と指示されていたのです。

患者さん自身が、当院が「食物負荷試験」をやっているのを伝え聞いて、患者さんの意志で受診して下さるのですが、期待されているので尚更アレルギー専門医として恥ずかしくない対応をしなければなりません。

今回の年賀状は、食物アレルギーのお子さんから頂いたものでした。「けーきがたべれておいしかったよ!」と平仮名で書かれた文字の脇にイチゴが載っているであろうクリスマスケーキの絵が添えられていました。この患者さんは、前主治医から卵とミルクアレルギーがあるので、卵と乳製品の完全除去を指示されていました。

いつになったら食べられるのか、答えを求めて遠方から当院を受診して下さったのを昨日のことのように覚えています。当院を受診されるまでは卵も乳製品も除去でしたので、親御さんからしてみれば「クリスマスケーキ」なんて“夢のまた夢”だったはずです。というのも卵も乳製品もたっぷり含まれているからです。

前の主治医から卵と乳の除去を指示されていると、患者さんにはそういう考えが染み付いてしまうと言うか、相当重くのしかかっています。その考えを改め、負荷試験に同意して頂くには、相当に労力を要します。いつも“説得”に近い形で説明しています。この大変さは、やったことのある小児科医にしか分からないと思います。

この患者さんにも、時間をかけて丁寧に説明しました。そして「食物負荷試験」に同意して頂きました。負荷試験の結果、問題なく食べられることが分かりました。タイミングが、クリスマス前でしたので、クリスマスケーキは食べていいと許可していました。

“夢のまた夢”が“現実”になり、親御さんもとても喜んで下さいました。年賀状にお母さんから一筆添えてあり、「家族みんなでケーキが食べられる幸せを実感している」と書かれていました。食物アレルギーを持っていない家庭にとっては“家族でケーキが食べられる幸せ”は到底理解できるものではないでしょうか。

お子さんが肺炎などで入院すればとても心配だと思います。しかし、食物アレルギーは肺炎などとは全く性格の異なるものです。肺炎は1週間程度で治りますが、食物アレルギーは治るのに数年はかかりますし、1日3回食べる“食事”が引き金になり、最悪ショックという重い症状に急激に陥ってしまいます。

知識と経験が豊富な専門医がキチンと患者さんをサポートしてあげないといけません。食物アレルギーの専門医は全国的にもとても少数です。上越はもとより、県内にも何人いるんだろうと言うレベルです。だからこそ、自分は頑張らなければならないと思っています。

今回の年賀状を契機に、不幸にも病気になってしまったこども達のために、プロとして的確に指示をして、適切に治療して患者さんやその家族に幸せをもたらすのが我々の小児科医の仕事なんだと再認識しました。混雑しているからと言って、決して流れ作業のように診療をしてはならない、そう思いました。