小児科 すこやかアレルギークリニック

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刑事と同じ
2009年01月17日 更新

ある日のこと、総合病院より口腔アレルギー症候群疑いの患者さんが紹介されてきました。

ご飯と味噌汁、イクラ、イチゴを食べたそうですが、食べている最中から咳き込み始め、呼吸困難も伴ったようです。嘔気もみられていました。

後日判明したのですが、この時に食べたものの中でアレルギー検査で反応が出ていたのがイチゴだったそうです。前医ではイチゴによる口腔アレルギー症候群を考えられたようです。ただし、この場合は口腔アレルギー症候群というよりは、アナフィラキシーと言っていいと考えています。

この状況で、イチゴを疑うのは当然のことだと思います。イチゴが原因と結論づけ、イチゴは食べないように指導する医師は多いのだろうと思います。そしてまた、患者さんも納得されると思います。しかし、私にはすんなりと受け入れることができませんでした。果たしてイチゴでこんな強い症状が出るのだろうかと思ったのです。

親御さんの話では、イチゴは普段から喜んで食べていたし、症状が出たために総合病院を受診して治療を受けて帰ってきた時に、この時はイチゴが悪いと言われるとは考えてもおらず、残りのイチゴを食べていました。何も起きなかったそうです。よくよく聞いてみると、やはりイチゴ原因説にはちょいと無理がありそうです。

ならばと親御さんからイチゴを持ってきて頂き、イチゴそのものを使って皮膚テストを行いました。イチゴが原因なら皮膚が大きく腫れるはずです。しかし、結果は全く腫れませんでした。

アレルギー検査が陽性、皮膚テストが陰性。いわば1勝1敗。シロクロ付けるには、食べてアレルギー症状を誘発されるかどうかを判断するしかない訳です。ここまで来たら、この患者さんのために一肌脱ぐしかありません。内心ちょっぴり不安はあったのですが、医院でイチゴを食べさせてみることにしました。これが「食物負荷試験」です。

果たして結果は…。何も起きませんでした。普通に考えると、前回強いアレルギー症状を起こしたイチゴが、今回は食べて何ともないということはないはずです。つまり、イチゴは原因ではないだろうと考えられます。

取りあえずイチゴの濡れ衣は晴らしたと言えるでしょう。では原因は何だろうか?ということになりますが、親御さんから情報を聞き直し、刑事でいう洗い直しをしなければならないと思います。

医者の仕事って、ちょっと刑事の仕事と共通性を感じがします。真実をあばく作業だと思うからです。食物アレルギーは、普段何気なく行っている「食べる」という行為が身に危険を及すという気の毒な病気です。何とか真実をあばき、患者さんが必要最低限気をつけることで日常生活を送らせてあげたい、そう思っています。