小児科 すこやかアレルギークリニック

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ぜんそくっぽい
2009年02月06日 更新

先日、患者さんが39度の熱を出してゼーゼー言ったために当院を初診されました。

ゼーゼーの話よりも、まず熱の原因究明をと考えました。お母さんに「周りにインフルエンザの子はいましたか?」と尋ねると「いいえ」の返事。前日は海外から帰って来て、千葉にいたとおっしゃいます。特に接触はないということでしたが、インフルエンザかどうか調べさせて頂きました。

結果は、インフルエンザでした。上越ではインフルエンザが結構流行っていますが、当院では熱発の子どもを片っ端からインフルエンザを調べるということはやっていません。鼻に棒を入れての検査は大人でも嫌なもの。痛い検査はなるべく避けたいし、必要な患者さんにだけ検査をしたいと考えています。それを踏まえても、なぜインフルエンザを調べたかと言いますと、強めのぜんそく発作を起こしたからです。

以前も触れたと思いますが、インフルエンザはぜんそくの患者さんがかかると、かなりの確率で発作を起こします。発作と言わないまでも強く咳き込むようになります。逆に考えたのです。

治療としては、副作用に注意しながらタミフルを使いますが、解熱すれば咳は徐々に減っていきます。タミフルはまだ有効な治療法なので、1日でも早く熱を下げる努力が必要でしょう。

この患者さんは、以前小児科にかかっていたそうです。ぜんそく症状が続くため、オノンなどのロイコトリエン受容体拮抗薬を続けていたそうですが、症状がスッキリ改善しないためにフルタイドという吸入ステロイドが処方されたそうです。これは私のよく言うガイドラインに則った治療の進め方でもあります。

ただし、残念ながら患者さんへの診断の説明が「ぜんそくっぽい」というものでした。一般的にフルタイドは、明らかなぜんそくで、しかも重症なお子さんが使うべき薬なはずです。

フルタイドを使っていて、症状は安定していたそうです。親御さんの周囲で「ステロイドって強い薬なんでしょ」という言葉に負けて、このフルタイドを使わなくなってしまったそうです。それで今回の発作です。

この患者さんは、治療中断の前の状況は、ぜんそくの重症度としてはガイドライン上で「中等症持続型」に属します。つまり、決して軽くはないし、治療をすぐには止めてはいけないのです。私は親御さんに“ぜんそくっぽい”ではなく、間違いなく“ぜんそく”であり、「中等症持続型」であることを伝えました。ガイドラインでも、この重症度では吸入ステロイドで継続的に治療することを推奨しているとお伝えしました。吸入ステロイドも危険な薬ではなく、中途半端な治療では大人にぜんそくを持ち越してしまう可能性があることも説明しました。

敵がしっかり見え、決して軽くないと分かれば、日本小児アレルギー学会が推奨する治療法に則り、確実に前に進んでいくべきでしょう。親御さんも理解して頂けましたので、より前向きに治療に取り組んで下さるものだと思います。

“ぜんそくっぽい”では、真実が伝わっていなかったのかなと思います。治りづらい病気だからこそ、丁寧な説明を行って親御さんに充分ご理解頂くことが必要なのでしょう。「的確な診断に適切な治療」、これが慢性的な病気であるぜんそくには欠かせないものであると再認識させられました。