先回、患者さんのために一生懸命診断する努力をするのが、医師の誠意だと言いました。
難しいケースは当然時間がかかるし、手間もかけなければいけないはずです。軽症なら時間はかかりませんが、重症や判断が難しい場合にも時間をかけない診療をするのは患者さんから信頼が得られないと思います。
当院は、ぜんそくなどのアレルギー疾患や呼吸器疾患に力を入れています。他の医療機関で咳が止まらないと、当院を受診されるケースが少なくなく、乳幼児の咳を診る機会がとても多いのです。
咳は、さまざまな原因で起きます。菌やウィルスなどの感染症やぜんそくなどが原因のこともあります。当院では、ねちっこく質問し、何が原因なのかを分かる努力をしています。その中で「ゼーゼーしましたか?」と聞くことがあります。しかし、“ゼーゼー”の認識がズレることがあるので要注意です。つまり、私の考える“ゼーゼー”とお母さんのおっしゃる“ゼーゼー”は異なることがあるのです。
そこで間違えてしまうと、診断も治療も変わってきてしまいます。診断をハッキリさせずに咳止めなどを使っているケースを見かけますが、治らないことも少なくないと思います。いつも言っている通り、まず「診断ありき」でしょう。
患者さんは素人です。何も分からなくて当然です。だから、専門家である医師のもとを「咳を何とかして欲しい」と受診されるのです。いち早く治す努力をするのが“プロ”だと考えています。
ただ、これはぜんそくのゼーゼーだなと確信が持てることも多いのですが、ぜんそくのようだが確証が持てないこともあります。そういう時は、「お母さん、ビデオでゼーゼーの様子を撮ってきて下さい」とお願いしています。百聞は一見にしかずなのです。
家でゼーゼーする場合は、診察室では見られないということを表しています。そうしなければ確認する方法はありません。当院では、時々気になる患者さんの場合はビデオ撮影をお願いしています。
親御さんにはお手数をお掛けしますが、親御さんも子どもの症状が良くなるのならと、快くビデオ撮影を引き受けて下さいます。当然とても参考になりますし、治療にも役立っています。神経の専門の先生がけいれんの有無を確認する時にビデオで確認することは見たことがありますが、咳でも充分に効果的です。
「正しい診断に、適切な治療」、これが基本な訳ですから、患者さんひとりひとりにキチンと誠実に対応していきたいと考えています。


