小児科 すこやかアレルギークリニック

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アトピーの場合も…
2009年03月06日 更新

先日、某市から湿疹が治らないと当院を初めて受診された赤ちゃんがいました。

いくつかの医療機関を転々とし、その街の一番人気の某科の医院を受診したそうです。しかし、納得のいく説明が得られず、治療効果も良くなっては悪くなるの繰り返しだったため、困り果てていたところ、以前私の講演を聞いたという知り合いのお母さんの勧めで、わざわざ当院を受診して下さいました。

通常、開業医は地元の患者さんが集まりますが、何十キロも離れた当院を目指して受診して下さいました。大きな期待を持って、遠路遥々来られたかと思うと、こちらも熱くなりますし、自分の知識を最大限に活かして対応しようという気になります。

これまでの一連の話を聞いてみて、申し訳ないですが、乳児のアトピー性皮膚炎は、「ガイドライン」通りに診断や治療がなされていないなというのが私の率直な印象です。「ガイドライン」通りの治療を行えば、アレルギー専門医並みの診断や治療をすることができます。ぜんそくも食物アレルギーも、そしてアトピーの場合も「ガイドライン」は、普及していないんだと実感しています。

「アトピーかどうかは、まだ判断できない」と言われていたようですが、既にアトピーの診断基準を満たしている状態でした。慎重に診断されているのかもしれませんが、「ガイドライン」を提示して、お母さんに説明しましたが、すぐにご理解頂けました。

診断がついていなかったこともあり、薬は塗って改善すれば塗るのを止めるように指示されていました。お母さんからすれば、治療してもすぐに悪くなってしまうため、何で良くならないんだろうとストレスは溜まる一方だったそうです。

母として、少しでも何とかしたいと思って、「食べ物は何か気をつけた方がいいですか?」と前主治医に聞いてみたそうです。「食べて皮膚が悪くなるものを除去すればいい」という返事でした。「もう既に悪いから、お母さんは質問したと思うんですが…」と突っ込みたくなります。

乳児のアトピーは食事が悪化要因になり得ます。本当なら様々なことを考え、対応しなければなりません。ただし、アトピーとは診断されていなかったので、これは仕方なかったのかもしれません。私は食物の関与を考えて、アレルギー検査をさせて頂きました。お母さんのご心配はもっともで、食物についても検討する必要はあるのです。これも「ガイドライン」に記載されていることです。

私はこの患者さんに対し、アトピー性皮膚炎の「ガイドライン」通りに診断し、悪化要因のページに記載のある食物の関与を考え、治療のページのところに記載のある薬の種類と塗り方通りの説明をしました。“マニュアル通り”の対応をしました。来週再診して頂くことにしましたが、過去の経験から次回までに皮膚症状は改善していると思います。

私の恩師が中心になって、アレルギー疾患に対しての「ガイドライン」が急ピッチで整備されました。2007年には成人ぜんそく、小児ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎のガイドラインを網羅した「アレルギー疾患 診断・治療ガイドライン2007」が完成しました。恩師が日本のアレルギーの診療レベルを向上させたい一心で、「ガイドライン」の完成にとてつもないエネルギーを注ぎ込まれている様子を知っています。

最近はEBMといって医学的に根拠のある、理にかなった医療をすべきだという風潮になっています。そうするための手本が「ガイドライン」と考えて頂いて間違いありません。ベテランの先生の方がいろいろ経験しているから安心と思われるかもしれませんが、アレルギーに関しては、年配の先生よりは若い先生の方が的確に診療している場合もあるでしょう。

私がこの地でやるべきことは決まっています。とにもかくにも、アレルギー患者さんに「ガイドライン」を認識して頂き、適切な診断と治療を受けて頂けるように手助けすることだと思っています。