最近は、アトピー性皮膚炎の患者さんが毎日何人も新たに受診されています。
アトピーの治療は、医師には知識と技術が求められます。更に、辛抱強く経過を見守らないといけないので、普段から時間をかけて説明し、良くならなれば良くならない理由を考え、医師と患者さん家族が共に歩んでいかなければなりません。当然、根底には信頼関係がなくてはなりません。往々にして、患者さんが満足できずに医院を替えることが多いのは、このようにいやゆる風邪や胃腸炎などの急性の病気とは根本的に異なった性質を持つ病気だからでしょう。
先日、受診された患者さんは最近県外から引っ越して来られたそうです。知り合いのお母さんからの勧めで当院を選んで下さいました。有り難いことです。
以前住んでいたところでは、ベテランの皮膚科の先生のところで診てもらっていたそうですが、診断は「乳児湿疹」でした。当院の問診票を見てみると年齢は2歳になっています。「ええっ!?」と思い、もう一度「何と診断されていましたか?」と尋ねると、お母さんは真顔で「乳児湿疹」と答えられます(汗)。「乳児って言葉は1歳までを指しますよね?」と聞いてみると、「そうですよね。私も疑問に思っていました。」とおっしゃいます。
お母さんの話を聞くと、難治性の湿疹があり、強めのステロイドを塗るように指示をされていたそうです。塗ると良くなるのですが、止めると悪化します。さすがに心配になって「ステロイドを塗り続けていいんですか?」と質問したら、「これでいいんだ」と一喝されたそうです。
この先生のやり方をどうこう言いたくはないのですが、こんな説明ってありでしょうか?。この辺でも質問して医師から逆ギレされる話は耳にしますが、これもそうですよね。
これをお読みの方に理解して頂きたいのは、今の時代の医療はやること成すことに“根拠”が必要です。大した根拠もないのに、治療されては患者さんはひとたまりもありません。「これでいいんだ」では、説明責任も何もないのです。最近の患者さんは勉強されていますし、当たり前のことですが知る権利もあります。聞かれたら“根拠”を説明すればいいだけです。
私の場合は、診察室の机の脇にアトピーやぜんそく、食物アレルギーの「ガイドライン」が置いてあり、すぐに説明できるようになっています。ガイドラインに沿わない治療を受けて問題があれば、いずれは医師の責任が問われるようになるものと思っています。
話をよく聞いてみた結果、この患者さんはアトピー性皮膚炎であることが判明しました。この先生は、本当に乳児湿疹だと思っていたのか疑問に思う点があります。よく分からないのですが、乳児湿疹には全く関係のないことなのに、「チョコは食べてはいけない」と釘を刺されていたそうです。どういう“根拠”があるのか私にはよく分かりません。そもそも、乳児湿疹に強いクラスのステロイドは私の経験では、使ったことがありません。
卵アレルギーもあったそうですが、アトピーには食物アレルギーを合併しやすいことを説明し、「そうなんですか~。初めて聞きました。」とやや驚いていらっしゃいました。なお、皮膚の悪化をきたすということでチョコは食べていなかったそうですが、食べられないはずはないと思っています。
これは今度は私が驚いたのですが、ぜんそく症状を繰り返していても、ぜんそくと診断されていませんでした。アレルギーで恵まれていない患者さんは少なくないだと思い知らされました。
インフルエンザの患者さんなら、インフルエンザの検査キットで診断して、異常行動に気をつけるように説明しながらタミフル(リレンザ)を処方し、咳止めや鼻水止めを足し、必要時に解熱剤を使ってもらえば数日後には改善しています。短期間の勝負です。アレルギーなどの慢性の病気は、根気強さの他に、親御さんの理解向上も大きなポイントのひとつです。これには、力づくの医療は求められていないと思います。症状が改善されればともに喜び、悪化すればともに原因を考えるという、いろいろ相談できるアドバイザー的なスタンスが求められているのだと思います。
お子さんがアレルギーの病気をお持ちの場合、何でも聞けて、それに対しキチンと答えてくれるような主治医を持つべきだと親御さんにはアドバイスをしたいと思います。そういう先生なら“根拠”も持っており、お子さんを任せられるのではないでしょうか?。


