小児科 すこやかアレルギークリニック

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2009年06月12日 更新

先日、市外からアレルギーの患者さんが受診されました。

これまでは、乳児湿疹とぜんそく性気管支炎、食物アレルギー(卵とカニ)と診断されていました。

3つ病気があると、とにかく診療に時間がかかります。市外から私を頼って受診して下さいました。充分に説明してお子さんの状態をよく理解してもらおうと考えました。

一つ一つ解決していこうと、話をよく聞いて説明していたら55分かかってしまいました(汗)。自分でいうのも何ですが、ここまでやる開業の小児科医はほとんどいないと思います。しかし、時間をかけなければいけない状況だったのです。

申し訳ないですが、3つの病気のどれもが症状に見合った適切な診断と治療がなされていませんでした。乳児湿疹はアトピー性皮膚炎であり、ぜんそく性気管支炎はぜんそくが正しい診断でした。カニアレルギーは間違いないと思いますが、卵アレルギーは確定ではなく、疑いの域を出ていませんでした。

まず乳児湿疹は、アトピー性皮膚炎の定義を満たしていました。治療もいつも言っている通り、診断が適切でないので、治療不足でした。口の周りもコツがあるのですが、改善しないまま痒い状態が続いていました。アトピーであることを時間をかけて説明し、どうしたらもっと痒みを減らすことができるか、理解して頂けたと思います。

既にゼーゼーと呼吸困難で4回の入院歴がありました。ぜんそく性気管支炎と診断されておりましたが、重症のぜんそくでした。日頃からロイコトリエン受容体拮抗薬が処方されていましたが、充分に症状が抑えられていませんでした。

以前RSウィルス感染症にかかっており、前の主治医が思っているよりも発作が起きやすい状況だったのです。現在は、ロイコトリエン受容体拮抗薬でも不十分なら吸入ステロイドを用いるべきと言われています。私の見解では、吸入ステロイドが必要な状態でした。多少手間はかかりますが、これまでよりはいい状態を作ることは可能だと思います。

このお子さんは、比較的珍しいと思いますが、カニで即時型反応を起こしていました。一般的にエビアレルギーの6割にカニアレルギーを合併すると言われています。それは同じ甲殻類として共通のアレルゲンを持っているからです。しかし、エビは食べても何ともないそうです。

アレルギー検査で、卵白も陽性でした。しかし、卵焼きなどの濃いものは食べてはいないものの、加工品は食べていました。その状況で“卵アレルギー”の診断は適切ではないと思います。大抵の医師が誤解している部分だと思います。いつも言っている通り、卵を食べてアレルギー症状を起こすのが“卵アレルギー”な訳です。「食物負荷試験」のことを説明して、卵が本当に食べられないかどうか近々調べることにしました。本当は食べられるのに、医師の誤解で「食べられない」のはおかしいし、すべきことではないと考えています。

親御さんがおっしゃっていたことなのですが、前主治医は何かあると親御さんに「お母さんはどうしたいですか?」と聞いてくれていたそうです。一見、優しい対応のように思えます。しかし、親御さんからしてみれば「私は素人だから、どうしたらいいか聞かれても困ります」という気持ちだったそうです。

そりゃそうです。お母さんのおっしゃる通りでしょう。あいにく3つのアレルギーの病気を持ってしまったのは現実です。3つ揃うとアレルギー専門でない小児科医には重荷なはずです。もっと早い時点で紹介してもらった方がよかったと思っています。

私の知識や技術が万全かと言われれば、そうではないでしょう。しかし、アレルギー専門医の端くれとして、もう少しはよくできると考えています。こういう慢性疾患は、親御さんの希望を聞くのではなく、「こういう時はこうした方がいいんだよ」とグイグイ引っ張っていく姿勢が大切だと思っています。

アレルギーは改善していくのに年単位の時間を要します。以前も書きましたが、慢性疾患を扱う小児科医は道先案内人のようなものでしょう。進むべき方向が右か左か分からないで困っている患者さんを見たら、どちらかを的確に教えるのが役目ではないでしょうか。今回の親御さんは55分間の説明で、これからの進むべき方向を理解して頂けたと思っています。

似たような状況の患者さんがいらっしゃれば、ご相談頂きたいと思います。残念ながら新潟県内のアレルギー専門医は少数ですが、多少通院に時間がかかっても3つのアレルギー疾患を合併している場合などは、確実に力になってくれると思っています。