私の恩師は「ミスターガイドライン」と呼ばれています。
押しも押されぬ小児アレルギーの日本の代表ですが、ぜんそくやアトピー、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の専門的治療は、一部のアレルギー専門医のためのものではありません。つまり、アレルギーが専門でない小児科医でもぜんそくやアトピー、食物アレルギーの適切な治療を行えなければならないのです。
しかし、現実問題として、専門医とそうでないかによって治療法に差があるケースが多いと思います。それでは、患者さんがかかる医師によって治療結果が変わってくることを意味します。それではいけません。
その差を埋めるのが「ガイドライン」なのです。ぜんそくやアトピーの第一人者の専門医が集まり、アレルギーの専門的治療をマニュアル化し、専門でない医師にも使いやすいようにしたのです。そうすれば、ほとんどのアレルギーの子ども達が、専門医でなくてもプロ並みの対応してもらえることになるのです。
私の恩師は、アレルギーで困っている子ども達のためにいくつもの「ガイドライン」の作成にかかわっておられます。一部のプロの治療を一般化したという意味で大きな功績だと思っていますし、それが「ミスターガイドライン」といわれる所以でもあります。
これは私の印象ですが、ぜんそくの「ガイドライン」は普及してきているとは言え、それに則った治療をしていない独自の治療をしている医師もいますし、アトピーの「ガイドライン」に載っている診断基準通りに診断されているケースは少ないように思います。ステロイドの使い方も、「ガイドライン」に則っていないのはないかと思われるケースもよく見受けられます。
食物アレルギーに関しても、2005年に「ガイドライン」が発表されました。食物アレルギーの患者さんの食べられる食べられないの判断は、アレルギー検査のみでなされるものではありません。皮膚テストも参考にしながら「食物負荷試験」で最終的に決定するのです。これは「ガイドライン」でも力説いている部分です。ところが、「ガイドライン」が出て4年経っても、「食物負荷試験」は県内で普及しているようには思えません。
患者さんは適切な管理や治療を受ける権利があります。当院では、患者さんに「ガイドライン」通りの正しい医療を受けて欲しいと願っています。風邪などの急性疾患よりも慢性疾患の方が、病気をキチンと理解し、症状を悪化させないように病気を“コントロール”する必要があります。そのために「ガイドライン」の存在は重要なのです。
当院は開院して以来、21回の院内勉強会を行っていますが、そのほとんどがアレルギーの病気に関する「ガイドライン」を取り上げています。親御さんにはご自分のお子さんが適切な医療を受けているかを確認して頂きたいと思っています。
最近は、幼稚園や保育園、学校の養護教諭の皆さんの参加も増えてきました。当院で診ていない患者さんにも、「ガイドライン」に則った適切な治療を受けて頂くチャンスが増える可能性もあると思っています。
医師だけでなく、親御さんは園や学校関係者が「ガイドライン」の存在を知り、内容を理解すれば、より多くのアレルギーの子ども達の生活の質(QOL)が向上すると確信しています。「ミスターガイドライン」のもとで学ばせて頂いた者として、困っている子ども達のために「ガイドライン」を広く普及させる必要があると考えています。
こういう勉強会を定期的にやっている医院は、県内にはまずないと思いますので、本音としては、いずれは新潟市や長岡市などからも参加者が増えるようにしなければならないと思っています。
今週末の27日は「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009」について解説を行います。ずっと外来が忙しく、まだ準備をし始めたばかりですが、手を抜かずに的確な内容のお話をしますので、一人でも多くの方にご参加頂きたいと思っています。


