当院の患者さんの多くは、ぜんそくやアトピー、食物アレルギーの患者さんですが、一般的には感染症の患者さんが多いと思います。
当院も基本は小児科なので、風邪症状や胃腸炎症状の患者さんは受診されています。「あそこはアレルギーだけの病院だ」と思われたくないので、熱や咳、発疹でも手も気も抜かずに診療しているつもりです。
例えば、「熱」のみの患者さんが来られたとします。「風邪」なら咳や鼻水が出ているはずですし、「胃腸炎」なら嘔吐や下痢も見られるはずです。もし熱だけだとしたら、中耳炎かもしれないし、尿路感染症かもしれません。
この場合は、鼓膜が赤ければ中耳炎と診断できるし、尿検査で尿が濁っていれば尿路感染症の可能性が高まります。これらの病気は細菌感染で起きることが多いでしょうから、抗生剤を使えば症状は改善すると思います。風邪と診断されて、抗生剤を飲んで治ってしまえば同じなのかもしれませんが、小児科医として、熱の原因が何なのかを突き止める必要はあると思いますので、当院では風邪ではなさそうだと考えれば、耳を見たり、尿検査をしています。
先日、5か月の赤ちゃんが発熱で受診されました。風邪にしては咳も鼻もみられなかったので、風邪ではないかもしれないなと考えました。尿検査をしたら、案の定、尿が濁っていました。抗生剤を使って治療し、熱は下がり、赤ちゃんは元通りになりました。普通はそれで「良かったね~」なのですが、私は引っ掛かりがありました。他のお子さんは尿路感染症は、まず起こしません。何故起こしたのか?を考えなければならないのです。
1番考えなければならないのは、そのお子さんが尿に菌が入りやすくなっているのではないか、ということです。膀胱から腎臓に向かって尿が“逆流”しやすいのを見逃してはならないのです。個人的に思春期になって腎機能が低下して異常がみつかったケースの経験もあります。赤ちゃんの時に尿路感染症を起こしても、精査をしていなかったそうです。
尿路感染症を起こした場合、何故起きたのかを明らかにする努力は必要だと思うのです。検査入院して“逆流”を確認しなければならないこともあります。簡易的に腹部エコーで異常がないかを確認することもできます。当院は、その異常を見逃したくないと考えているので、腎臓の専門家に紹介しています。それが患者さんにとってベストで、良心的な対応だと考えるからです。
当院は、「何故そうなったのだろう」と考えながら医療をしているつもりです。それが見逃しを減らす大きな力になると信じています。
いつも言っていることですが、何度も咳が長引いているのに“風邪”や“マイコプラズマ”と診断されており、通院しても一向に良くならないと困り果てて当院に受診される患者さんはかなりの頻度でいらっしゃいます。ぜんそくと診断されるケースがほとんどです。アトピーなのに“乳児湿疹”と診断されて、過小治療のためによくならない患者さんがどれだけ多いことか…。「何故良くならないか」を考えるべきではないでしょうか?。
「治って良かった」ではなく、その一歩先を考えて、「何故?」という気持ちを常に持って医療するのが医師の役目ではないかと思っています。


