ぜんそくのお子さんの7割にアレルギー性鼻炎を合併していると言われています。
同時に治療することで、治療効果が高まるとも言われています。それが今日のタイトルの意味合いです。つまりぜんそくの治療をする時には、鼻の影響を考えなければいけないこともあるのです。
当院で診ているぜんそくのお子さんは定期的に通院して下さっています。そのお子さんの親御さんが、ここ2回お子さんの診察中も止まらないくらいのひどい咳をしていました。さすがにどこか医療機関で治療をしているだろうと思っていたので、お母さんの病状には触れずにいました。
3回目の受診時に、親御さんから診察希望がありました。よくよく話を聞いてみると、ぜんそくをお持ちで、既に専門病院でフル装備の治療がなされています。吸入ステロイド、長時間作動型の気管支拡張薬、去痰剤、抗生剤などなど、これでもかって治療が行われていました。時々点滴治療もやっていたようです。
子どものぜんそくで他院で治療されても良くならない場合は、1週間もあれば症状は改善させられるケースがほとんどです。つまり、重症度の見誤りが多いからです。今回、親御さんのこれまでの治療経過を聞いて、私がどこまで力になれるか不安になりました。しかし、頼られたからには自分なりの答えを出さなければならないと考えました。何か突破口があるのではないかと思いました。
話をよく聞きなおすと、鼻水がひどいとおっしゃいます。鼻の治療はあまりされておらず、それがヒントではないかと考えました。鼻はアレルギー性鼻炎でしょうから、その対策を講じなければならないと思いました。「これでダメなら、どうしようもないな…」と思いつつ、ステロイドの点鼻薬を処方しました。
それからしばらくして、お子さんの定期通院の日がやってきました。いつもは親御さんだけが咳をしながら診察室に入ってくるのに、その日は妙に静かでした。「調子はどうなった?」と聞いてみると、「お陰様で、点鼻をしていたら徐々に鼻が止まり、咳も出なくなりました」と笑顔で答えて下さいました。
親御さんのぜんそくの調子は確かにかなり悪い状態でした。と同時にアレルギー性鼻炎も良くありませんでした。one airway one diseaseとは直訳すると「ひとつの気道(鼻から気管支)ひとつの病気」となりますが、今回の推測としては、アレルギー性鼻炎がぜんそくの足を大きく引っ張っていたのだと思うのです。そこで鼻炎を叩いたら、ぜんそく症状が改善していったと考えることができると思います。まさにone airway one diseaseの概念通りに対応したら、改善したと考えています。
自分の知識を駆使して、患者さんを幸せにするのが医師の役目です。one airway one diseaseは比較的最近提唱されてきたものですが、「いつか役立つだろう」とアレルギー学会で学んできたものです。アレルギーの専門医でないと、あまりご存知でないと思いますが、私もこういう形でその知識が役立つとは思ってみませんでした。
親御さんが耳鼻科に行っていれば、アレルギー性鼻炎の治療をもっと早くから開始されていたのだろうと思います。しかし、耳鼻科だけだとぜんそくの治療が的確に行われなくなる可能性があります。ぜんそくもアレルギー性鼻炎もトータルで診ることのできるトータルアラジスト(総合的なアレルギー専門医)的な対応が求められると思います。
個人的には、急に頼られて少々ビックリしましたが、学会で勉強していて良かったし、何とかプロとしての任務は果たせたのかなと思っています。


