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当たり前の治療が普及していない
2009年07月14日 更新

先週の土曜に上越市内で、皮膚科医会がありました。

私は初めての参加でしたが、是非とも参加したいと思っていました。アトピー性皮膚炎で有名な東京逓信病院皮膚科の江藤隆史先生が講演に来られるからです。

演題名は「アトピー性皮膚炎の標準治療普及をめざして -9つの問題点とその対応-」でした。さすがにご高名な先生だけあって参加者は多かったのですが、残念ながら小児科の先生をあまり見かけませんでした。

ここで注目して頂きたいのが、日本の第一人者の先生がアトピーの“標準治療”を普及させるために精力的に地方を講演されて回っているという現実です。

普段から言っている通り、アトピー性皮膚炎は医師の間でもいまだに誤解が多く、診断や治療が適切に行われていない患者さんがいかに多いことかと思います。本来なら今回の演題にも上がっている“標準治療”は小児科医や皮膚科医のすべてができなければならないはずです。それは決して高度ではなく、あくまで“標準”治療であるからです。

当院には、小児科や皮膚科に通ってもよくならないと新潟市、三条市、長岡市、小千谷市、南魚沼市、柏崎市、などからアトピーの患者さんが通院されています。私は特別な治療をしている訳ではなく、ただ標準的な治療を心掛けているだけなのです。申し訳ないですが、現時点で私のやっていることが100点満点だとは思っていません。よりハイレベルな治療をと努力していますが、私自身、アトピーの治療はまだまだ勉強しなければならないと思っています。それでも多くの患者さんが当院を頼って下さいます。アトピーの基本とも言える、当たり前の治療が普及しさえすれば、当院まで来られなくても済むはずです。

日頃診療していると、診断も治療も両方とも合っていないケースは、かなり多いのが現実です。専門施設で学ばせて頂いた者として言わせて頂くと、皮膚の症状、重症度、治療など、こういう皮膚症状なら軽症で、こう治療するとか、重症な場合は、何が原因であることが多く、Aという治療でダメならBという治療に切り替える、というトレーニングを受けていないと対応が難しいように思います。

江藤先生のご講演の中で、いろんなご指摘がありました。ステロイドと保湿剤の混合はあまり有効でないこと、3種類以上の軟膏を混ぜるのは正しくないというお話もありました。プロトピック軟膏というステロイド以外の外用薬で、ステロイドの副作用を起こさないようにできるというお話もありました。個人的にはアレルギー学会等で江藤先生のお話を聞く機会がありましたので、ほぼ理解していたつもりです。

アトピーは、皮膚科でなく小児科を受診されるケースが多いと思います。せっかく、有名な先生がこういう地方都市にご講演に来て下さった訳です。診療を休んで学会に参加しなければ、聞けないようなお話でした。本当なら小児科・アレルギー科の先生にも聞いて頂きたかったと思っています。新型インフルエンザの講演もいいですが、アトピーの標準治療にも精通していなければ、患者さんが混乱してしまうのです。参加すれば、収穫は沢山あったはずです。

私もアレルギー専門医として、上越に標準治療を広めたいと思っています。周りの治療を見ていると当院開院当初に比べ、少し変わってきているように思います。しかし、改善が思わしくないのに、同じ薬を処方し続けられている患者さんも数多くいらっしゃいます。同じ薬を出している限りは改善は望めないのではないかと思います。こういう場合は、ためらわず専門医に紹介して欲しいと思います。

患者さんにとってみれば、ある医院で乳児湿疹と言われ、別の医院でアトピーと診断されることであり、保湿剤だけ出されたり、ステロイドを処方されたりすることを意味します。つまり、言い方は悪いですが、医療機関を受診をしてみたけれど“ハズレ”だったなんてことが有り得るのです。

患者さんは「アレルギー科」という看板をもとに受診する医療機関を決めている方が多いのです。せめて“標準”的なことができなければ、「アレルギー科」を名乗るべきではないと考えています。かわいいお子さんの症状がよくならない、説明が足りないと悩んでおられる親御さんはものすごく多いのです。我々医師は、アトピー性皮膚炎を診る技術をもっと付けなければならないと思っています。