小児科 すこやかアレルギークリニック

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県外から
2009年07月23日 更新

当院の診療は予約制になっています。

ある新患の患者さんの予約が入っていて、連絡先のところに見慣れない市外局番が記載されていました。

先日、受診されたのですが、隣の県からわざわざ受診して下さったのです。ご自宅から当院まで100キロくらいあるそうですが、「1時間くらいで来ました」と素涼しい顔でおっしゃっていました。確かに当院は120キロ離れた新潟市、160キロ離れた新発田市からも患者さんが来られます。

今回の患者さんの目的は、食物アレルギーでした。お隣の県でも「食物負荷試験」は普及していないようです。当院は、別に特別のことをやっている訳ではありません。ガイドライン通りの標準的な治療をやっているだけです。裏を返せば、いかに標準的な治療が普及していないかという事実を表しているのかと思います。

よくあるパターンで、血液検査だけで判断されており、2歳を過ぎても検査で陽性だった卵、牛乳、大豆、小麦の4項目の食品を完全除去されていました。当院のホームページをご覧になり、「食べさせてくれるのなら、受診してみたい」と考えられたそうです。

大豆は以前は三大アレルゲンの一角を占めていましたが、今は10位くらいまで落ちています。アトピーの原因にはなっても、即時型反応といってじんましんが広く出たり、咳込みが強くなることはあまりないのです。一方、卵、牛乳、小麦は強い反応を起こすことがあります。ですから、食べさせることに関して、一列で考えるのはどうかと思います。つまり、大豆は与えやすいと思うのですが、これら4つの食品を完全に除去されてきました。

卵や牛乳に比べると、小麦はアレルギー検査が高くても食べられる可能性があります。以前、食べて強いアレルギー症状を出したのでなければ、検査が高いからもいつまでも除去を続けるのも、患者さんにとって負担が大き過ぎると思います。

ちなみに、当院ではアレルギー検査は参考にはしますが、クラス3や4であっても勝算があると思えば、積極的に「食物負荷試験」を行っています。普通、小児科医なら完全除去を指示しているケースでもです。

根底にあるのは「無駄な除去を続けるべきではない」、「少しでも食べられる食品を増やしてあげたい」という気持ちです。くさい言葉かもしれませんが、医療にも“ハート”って大切だと思っています。

その気持ちをホームページに込めているつもりですが、それが伝わったのなら嬉しく思っています。当院でできることは県内、県外に関わらず提供させて頂きます。

いつも通り30分以上説明しました。お母さんの食物アレルギーに関する考え方は変わってくれたと思います。いや、変わらせないといけないのです。難しいことは言っていないし、時間もかけているので、当院に来られる患者さんは最新の食物アレルギーの考え方を理解して下さいます。今回も「食物負荷試験」のために近々再診して頂くことになりました。

今回の話からもお分かりの通り、県外からも正しい食物アレルギーの医療を求めて受診されるような現状なので、「食物負荷試験」をやる施設が増えなければ患者さんは正しい医療を受けられないのです。ただし、医師なら誰でもできる訳ではなく、4月に出された食物負荷試験のガイドラインにも、これから新たにやる医師は専門病院で研修することが望ましいと記載されています。開業医の先生が専門施設でトレーニングを受けることは物理的に不可能に近いでしょうから、これからの若い先生に期待するしかなさそうです。

まず私のやるべきことは、「食物負荷試験」を受けなければ正しい判断ができないことを、アレルギー検査の結果が全てと思っている患者さんや医師に伝えることだと思っています。