先日、患者さんのお母さんから「風疹にかかったので、予約していたMRワクチンはキャンセルさせて欲しい」と言われました。
予防接種の普及で、以前は多かった風疹も最近ではめっきりみなくなりました。ここ上越では風疹が流行っているなんてウワサを聞いたことがないのですが、ある医療機関でそう診断されたそうです。
「へー」と思いつつも、最近は本当に遭遇することもないので、「本当に風疹なのだろうか?」と思ってしまいました。「どうやって診断されたんですか?」と聞いてみると、発疹を見て、即座に風疹と診断されたそうです。
風疹よりも、麻疹の方が典型的で小児科医ならピンと来る発疹なのです。風疹だとかなり他の発疹と紛らわしいので、ほとんどの小児科医が抗体の検査で判断していると思います。ましてや、この辺りでは夏風邪の影響で発疹が出る「ウィルス性発疹」が最近はよく見られています。
私は、その患者さんが本当に風疹なのか調べる必要があると考えました。本当に風疹なら、そのお子さんの通う保育園に「風疹の子が出たので、気をつけて下さい」と報告できるからです。
果たして結果は、陰性でした。つまり、風疹ではないだろうという結論になります。
実は、同じ園のお子さんが、やはり同じ医療機関で風疹と診断されたそうです。その園では複数の風疹の報告を受けて、「風疹が流行っている」と親御さん達に通知しているそうです。もし発疹の見かけだけで診断されているのなら、いま巷でみられている夏風邪の影響の発疹を風疹と判断されているのかもしれません。園の先生には確認する術はないので、医師の診断を信じるしかありません。医師の診断は、何十人、何百人という患者さんや患者さん家族に大きな影響を及します。
当院には、マイコプラズマと診断され、点滴を繰り返されてもよくならいとおっしゃる患者さんがかなりの頻度で受診されます。実際にほとんどのケースがぜんそくの治療だけで、数日で改善しています。マイコプラズマの検査の検査の限界も知っておかないと、判断を誤ることもあるでしょう。
我々医師は、医学的根拠のある判断や医療をしなければならない、そう実感させられました。


