ある小児科で痰の絡むお子さんが治療されていました。
主治医の先生はぜんそくを考えていたようで、吸入ステロイドが処方されていました。しかし、思わしいほどの改善が得られていなかったようです。
次は「副鼻腔気管症候群」を考えたようです。これはいわゆる、蓄のう症があって、汚い鼻がのどの奥に垂れることにより気管支炎を繰り返す病気です。治療はクラリスやクラリシッドなどの抗生剤を半分の量にして、中長期に渡り内服を継続する方法が有効と言われています。その対応をするとちょっと症状が改善するようだと説明されていたようです。
こういった治療の途中で、私の元を受診されました。
こういう慢性の症状がみられる場合、過去の状態を私が診られる訳ではないので、問診が重要です。ぜんそくや「副鼻腔気管症候群」の特徴が本当にみられていたのかを聞かなければなりません。
特にぜんそくの有無は問診である程度分かります。いろいろと症状を聞いてみましたが、本当にぜんそくだろうか?という疑問がありました。そもそも吸入ステロイドはぜんそくに最も期待できる治療なため、使って効かないのはおかしいと思いました。親御さんにアレルギー検査をしたことがあるか聞いてみたところ、ないということだったので検査をさせて頂くことにしました。
食物アレルギーにおいて、アレルギー検査は「さほど当てにならない」といつも言っていますが、小児ぜんそくのお子さんでは9割以上がダニ、ハウスダストが陽性になりますから、ぜんそくに関してはそれなりに有効と考えています。
結果を見てみると、ダニやハウスダストが陰性であることが判明しました。「ぜんそくではない」と言い切れませんが、ぜんそくでない可能性も出てきた訳です。
また「副鼻腔気管症候群」では顔のレントゲンを撮ることを推奨されています。両目の下に副鼻腔と呼ばれる空洞があり、そこに膿が溜まっている所見があれば、がぜん「副鼻腔気管症候群」である可能性が高まります。
レントゲンを撮ってみると、膿は溜まっていませんでした。つまり「副鼻腔気管症候群」でない可能性も出てきました。ただし、治療によって軽快しているのかもしれません。
私はこういった呼吸器の分野も少しは知識があるつもりです。患者さんに頼られれば、全力で診断し、治療に当たっているつもりです。このケースではぜんそくでも、「副鼻腔気管症候群」でもないかもしれないと考えています。
では、これまで行われている治療をどうするか?。必要がないかもしれないと思えば、止めるのが筋だと考えています。継続されてきた吸入ステロイドを減量中止とすることにしました。
現在、止めても症状の悪化をみていません。治療をしていた時よりも、痰がらみは気にならないそうです。今のところ、原因はよくわかりませんが、薬も使わずに痰がらみが気にならなければ問題はないはずです。
欲を言えば、一番最初から治療させて頂ければよかったと思います。しかし、それは今更言っても仕方ありません。症状を私自身が確認できていないので、対応が難しいのですが、もし何らかの症状が再燃してくれば、それをみて適切な治療を行わせて頂こうと思っております。


