医療機関で治療して咳や皮膚などの症状がよくならないと、当院を頼って受診されることはよくあります。有り難いことです。
咳などのぜんそく症状を繰り返しているのに、ぜんそくと診断されていないケースが後を絶ちません。風邪や気管支炎、マイコプラズマなどと診断されています。
咳が出ると、すぐにマイコプラズマと診断されているお子さんは結構といます。血液検査をしているようなのですが、念のためと点滴を薦められ、治療を繰り返してもよくならないことがあります。
そういった状況で当院を受診される訳ですが、こういうケースは咳の状況をよく問診することにしています。往々にしてぜんそくと診断されるので、マイコプラズマの治療薬は使わずに、ぜんそくの治療をするだけで数日で改善しています。
患者さんにしてみれば、咳を止めて欲しいのです。マイコプラズマかどうかは重要なことではなく、長引く咳を止めてもらうことを求めていると思います。我々小児科医は、仮にマイコプラズマの検査が陽性でも、今回の咳はマイコプラズマのせいなのか、治療しても良くならなければぜんそくなど他の病気が隠れていないのか、と冷静に判断すべきです。患者さんの症状を最短距離で良くするよう努力しなければならないのです。
推測するに、マイコプラズマの検査は半年か1年は体の中に残っていることがあるので、今回はマイコプラズマの影響がなかったと理解すればつじつまが合うと考えています。
検査だけ頼りにしていると、短期間に「マイコプラズマに5回かかりました」なんてことになると思うのです。この検査の限界を示すものではないかと考えています。
ふと、アレルギー検査と同じではないかと思いました。
いつも言っている通り、アレルギー検査はクラス0~6までの7段階に分かれていて、クラス2以上が陽性と各医師は判断しています。しかし、昨日も書きましたが、クラス3でも卵焼きを食べることができれば、その子は卵アレルギーと診断できるでしょうか?。診断できないはずです。
この夏は「食物負荷試験」を毎日のように沢山やりました。「食物負荷試験」をやることで、クラス4でも卵が食べられることを証明したケースもありました。私も含め食物アレルギーの専門医だけが、アレルギー検査をあまり当てにしていないのではないかと思います。
食物アレルギーの治療は、原因食物の除去です。積極的治療ではありませんが、食べられるようになるまで、「食べない」というのが基本です。食べると症状が出てしまうので、アレルギー症状を出さないためにはそうするしかありません。
今日のタイトルのように、検査は治療のためです。食べて何ともないものを「除去するように」と医師から患者さんに指示するのは、治療でもなんでもありません。逆に患者さんからすれば、“いい迷惑”なだけです。検査に限界があるからこそ、その検査が正しいのかどうかを見極めるのが「食物負荷試験」です。
数日前にも書きましたが、子どもにとって採血は痛く、嫌なものでしょう。個人的には、必要最小限にしているつもりです。しかし、食物アレルギーの場合、検査は参考にはなるので採血はさせて頂いています。
せっかく子ども達に痛い思いをして、検査を頑張ってもらったのです。その検査を正確に判断しなければ、意味がないと思います。よくある話ですが、卵焼きを食べているのに、アレルギー検査で卵が陽性だからと卵の除去を指示するのは“いい迷惑”以上の何物でもありません。
マイコプラズマといい、アレルギー検査といい、行った検査を有効に治療に結びつける努力を怠ったら検査の意味がなくなってしまいます。医師には冷静に判断する姿勢が求められていると思っています。


