小児科 すこやかアレルギークリニック

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精神論
2009年09月02日 更新

火曜の21時から「救命病棟24時」という救急に関するドラマをやっています。江口洋介さん、松嶋菜々子さんが出演しています。

江口さんは「1%でも助けられる可能性があるなら最大限の努力をすべき」というポリシーのもと、熱い思いで診療に当たる優秀な救命医役です。

先日の放送では、大きな事故で搬送された男性の救命をしようとする場面がありました。明らかに助からない命を、それでも可能性があるならと懸命に救命しようと試みたのですが、ダメでした。

それをみていた研修医が「助かる命を救うのが医者の役目ではないか?。今回のケースは無駄なことだ。」と食って掛かり、江口さんが「1%でも…」と話し出すと、「精神論だ」と反発すると言うストーリーでした。お互い正論だと思うのですが、人によって意見は分かれるでしょう。

ちなみに、私は救命医には向いていないと思います。一刻を争う場面で躊躇なく的確な判断を行う自信はないし、医師の方にもものすごく肉体的精神的ストレスがかかると思います。中には、そういう場面にやり甲斐を見つけ、頑張る医師もいることでしょう。このドラマを観ていても、私には無理だなーと思っています。

アレルギーのような慢性の病気は、ぜんそくの重い発作や食物アレルギーにおけるアナフィラキシーショックのように緊急に対応しなければならないケースもありますが、一般的には数ヶ月、数年の期間で症状を落ち着かせていくのがやり方です。ゆっくり考える時間はあります。こういう方が私には向いていると思っています。

また、私の好きなのは人間として患者さんと触れ合うことができること。数ある小児科の中で、自分を選んでくれて、定期的に通って下さいます。信頼関係がなければ、医療は成り立ちません。子ども達も診察室のおもちゃで遊ぶのを楽しみにやってきます。

そんな子どもにより親近感を持ち、点滴や採血など、痛い思いはさせたくないと考えるのは自然なことだと思います。食物アレルギーの場合、アレルゲンを知るにはアレルギー検査が避けられません。かわいそうですが、これは仕方のないことです。

ぜんそく発作で点滴を繰り返すところもありますが、当院では他の医療機関よりもぜんそくの患者さんは多いと思いますが、1年以上も発作のための点滴はしていません。入院もないと思います。自分の持てる技術を活かして、診療に当たれば点滴はほぼ必要はなくなるのです。処置が多ければ医院は助かりますが、子どものことを思えば点滴はしないのが筋だと思います。

食物アレルギーもアレルギー検査だけで卵もダメ、乳製品もダメと判断するのは簡単です。オーバーに除去や制限を指導しておけば、何も起きないので医師は“楽”です。当院ではアナフィラキシーのリスクを負っても「食物負荷試験」を行っています。アレルギー検査は大して当てにならず、正しい判断ができないからです。そもそも患者さんを“楽”にするのが医療のはずです。間違った指導するのは、患者さんには“いい迷惑”だと思っています。

医院にとっては収入も大事ですが、効率や経営を考えると私の考える正しい医療はできなくなります。患者さんのことを第一に考える“精神論”はやはり重要だと思っています。

中には、数多くの患者さんの診察を淡々とこなすことが大切という医師もいるでしょう。しかし、軽症ならまだしも、困っている患者さんや重症な患者さんには、“精神論”で対応していきたいと考えています。

なお、ドラマの中でぜんそくの大発作で搬送されてきたお子さんがいました。一旦処置をして改善するのですが、入院中の夜間に再び具合が悪くなります。近くにいた研修医が「単なる発作だから、吸入で良くなる」と判断します。しかし、そのお子さんは吸入中に呼吸が停止してしまいます。

すぐに江口さんが駆けつけて、診察し瞬時に病態を判断します。そして突っ立っている研修医に「何をみているんだ。お前はそれでも医者か。これはアナフィラキシーショックだ。」と一喝する場面がありました。

このケースも的確な処置で救命できるのですが、夜中に突然アナフィラキシーショックを起こすのは不自然です。普通なら食物、薬、蜂刺されなどが誘因となります。ちょっとツッコミを入れたくなる場面でした。