小児科 すこやかアレルギークリニック

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お母さんもビックリ
2009年09月04日 更新

当院は、普通の小児科の先生が投げ出してしまいたくなるような重症のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの患者さんを診ています。

重症なアレルギーのお子さんの場合は、「オレが診なければ、誰が診るんだ」という気持ちは持っています。

私が前勤務先の病院にいた時のこと、突然重症なアトピー性皮膚炎に食物アレルギーを合併したお子さんが、私の外来を受診されました。

下越の大病院の皮膚科に通院されていたそうです。本当に重症なアトピー性皮膚炎でした。大病院に通ってもなかなか良くならないため、またご自宅から100キロ以上離れていて通院もままならなかったため、私が小児アレルギーの専門であることを伝え聞いて、頼って下さったのです。

スタッフの揃った皮膚科に通っていたものの、皮膚がなかなか改善しなかったのは「超」の付くくらい重症な食物アレルギーを合併していたからではないかと考えています。

お母さんも一生懸命な方で、真面目に私の元を通院して下さいました。私も負けず劣らず一生懸命説明し、持てる限りの知識を駆使して治療に当たりました。患者さん自身は、好きで重症になった訳ではないので、なるべく早く病気の苦痛から解放させてあげたいと思いました。

アトピー自体もかなりの重症でしたのでゆっくりではありますが、皮膚は徐々に落ち着いてきました。現在はステロイドは使わない程に改善しています。当時を知る人には、驚きの変化だと思います。

そして、重症な食物アレルギーが残りました。小学生になっていますが、いまだに除去せざるを得ない食品はまだあります。私はいつもアレルギー検査は当てにならないと繰り返しています。しかし、この年代で数字が高ければ、強いアレルギー症状が誘発される可能性が高いのです。一部の食品はなかなか「食べていいよ」とはいかずにいます。「食物負荷試験」も進まずにいました。

そんな中で、「この夏休みに何か負荷試験をしましょう」とお母さんと打ち合わせていました。数あるアレルゲンの中で、私はソバならいけるんじゃないか?という感触を持っていました。ソバの負荷試験をやってみようということになりました。

実際に食べさせてみると、思いのほか何も起きません。少しずつ慎重に増やしていきます。普段から除去品目が多いので、私自身は「何とかこのソバを食べさせてあげたい」という一心でした。しかし、負荷試験が進むにつれてアレルギー検査でソバは陽性だったため、お母さんの方が弱気になってきました。

「そんなに食べて大丈夫ですか?」と言われます。お母さんの気持ちも分かるのですが、本人も喜んで食べています。それなりのノウハウは持っているつもりですので、続行としました。

結局、100グラムのソバを完食しました。お母さんもビックリしていました。この患者さんはアレルギー体質が極めて強く、食事に関して除去や制限を余儀なくされています。お母さんもそれは充分ご存知なので、私が続行と言わなければ、一生ソバを避けていたかもしれません。

その意味でも、患者さんの食事のバリエーションが増えて、ホッとしています。「ソバくらい食べなくてもいい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、一品でも多くの食品を食べさせてあげたいと思う意地のようなものです。

今回の話は、数字が高くてもソバを試すことを推奨するものではありません。ちゃんと分かった医師が近くについていて、細心の注意で食べられることを確認したものです。しかし、ソバの検査の値がクラス1とか2で食べさせないようにしているという親御さんがいらっしゃるとしたら、意外にも食べて何ともないかもしれません。

ソバは強いアレルギー症状を起こしやすいことが知られています。しかし、ソバであっても検査が陽性であっても食べられるケースは存在します。主治医や親御さんの誤解で食べられないのだとしたら、残念な気もします。それを明らかにする「食物負荷試験」をやる小児科がもっと増えて欲しいと願っています。