小児科 すこやかアレルギークリニック

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怪我の功名
2009年09月25日 更新

当院は、毎日のように「食物負荷試験」を行っています。

アレルギー検査の値で食べる食べられないの判断がなされている中、「食物負荷試験」を繰り返していると、「いかにアレルギー検査が当てにならないか」を実感しています。

いま、当院が開院してからの2年間に行った「食物負荷試験」のデータの整理をしています。このシルバーウィークの間に頑張ってまとめあげたのですが、アレルギー検査が当てにならないことを証明できました。この結果は来月3日の「すこやか健康フェア」の中で公表したいと思っています。

開業医は、忙しくて診療だけで手一杯という医師もいるかもしれません。確かに病院だと複数の医師がいることが多いので、学会に参加したり、データをまとめて研究する時間的余裕もあることでしょう。しかし、医師の心掛け次第でどうにでもなります。

自前のデータを元に患者さんにより理解できるように説明できるでしょうし、医師として学問的に生きているというプライドを保ち続けることもできます。開業医なんだからこの程度の医療で我慢してもらおうなんてサラサラ考えてもいません。いずれにしても、今回の研究結果にはちょっと期待して下さい。

さて、その「食物負荷試験」ですが、成功することもあれば、失敗することもあります。時折蕁麻疹が広範囲に広がることもありますし、口の周りに数個出る程度で済むこともあります。

先日、卵アレルギーのお子さんに卵の加工品の負荷試験を行った時のことです。卵白のクラスは3でした。行けると思ったのですが、最後の方になって口の周りや首に蕁麻疹がポツリポツリと出てしまいました。患者さんもおもちゃで遊んではいますが、若干落ち着きがない様子です。

ここで負荷試験は中止となります。加工品で蕁麻疹が出てしまった訳ですから、卵料理やプリンなどは食べさせてはいけないことがハッキリ分かりました。旦那さんも一緒だったので、この事実を目にしています。お母さんが出掛けている間も卵製品の濃いものは食べさせてはいけないことがご理解頂けたと思います。

お子さんには症状を起こさせて、痒い思いをさせてしまいましたが、親御さんがお子さんの卵アレルギーの状態をキチンと把握できた点ではメリットと言えると思います。実は、もう一つメリットがあります。

卵アレルギーはいずれ治る可能性が高いと思いますが、卵焼きがいつ食べられるようになるかは誰にも分かりません。1年先かもしれないし、もう少し先のことかもしれません。アレルギー検査が0になれば食べられることでしょう。しかし、そこまで待つ必要はありません。検査が1や2でも食べることは結構あります。

それまでの間に、気をつけていても卵製品を口にしてしまうことはあり得ると思います。幼稚園の給食の時間に隣の友達が卵焼きを分け与えるかもしれません。祖母が間違って食べさせてしまうかもしれません。その時が夜だったら、当院はやっていない時間帯です。もちろん強い症状なら救急外来に走ってもらわないといけないのですが、ちょっとした蕁麻疹なら内服薬だけでも充分に効果があります。

当院は食物アレルギーで即時型反応と言って症状が出たことのあるお子さんには、抗ヒスタミン薬という緊急時の対処の薬を処方しています。普通、アレルギー症状が出てしまった時は、往々にして慌てふためいてうまく対応できないものです。しかし、「食物負荷試験」で症状が出てしまった時に、医院で先の対処薬を飲んで頂きます。ほとんどはそれで充分対応できます。

そうすれば誤食時に、一度経験しているので速やかに対応できます。どんな時に飲ませ、飲ませたらどうなるというシュミレーションができてしまうので、誤食がある場合はどのお母さんも的確に対応して下さっています。

「食物負荷試験」で合格すれば、食べられるものの範囲が広がります。一方、合格できなかった場合は、食事内容は現状維持になります。しかし、限界がハッキリ分かるのと、怪我の功名といいますか、誤食時の対応をスムーズに行うことができます。

当院で「食物負荷試験」を行うとリピーター率が高いです。「食物負荷試験」に理解のない医師は「自分の子どもじゃないからそんな危険なことができるんだ」と言いますが、私は自分の子でもやると思います。「なるべく多くのものを食べさせてあげたい」と願うからです。結果がどちらに転んでも納得のいく説明をすれば、また挑戦したいと考える親御さんがほとんどです。

食物アレルギーに理解があり、効率を求めず、正しいことを行いたいという信念を持っていれば、食物負荷試験は決して難しい検査ではないと思っています。