小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

パフォーマンスはいらない
2009年10月21日 更新

いまだに新型インフルエンザの予約が開始できていません。今日もそうですが、何かが分かり次第にこの場で公表するのが患者さんに対する“公平”だと考えています。

先日、食物アレルギーの赤ちゃんが受診されました。生後3か月の時にミルクを初めて飲ませたら、3時間後に体が赤くなっているのに気付いたそうです。

食物アレルギーはアレルゲン摂取後2時間以内に皮膚などに症状が出るものを指します。今回のケースは寝ていて、しかも服を着ていたために発見が遅れたので、3時間くらいして気付いても食物アレルギーを考えなければなりません。

診察時に、総合病院の小児科の検査結果を持ってこられていました。ミルクのアレルギー検査はクラス0でした。さすがに状況的にミルクしか飲んでいないので、対応した小児科医も検査結果が0であっても「ミルクアレルギーも否定できない」と説明していました。

残念なのはそのままにしていて、真相は闇の中になっていました。もう怖くなったお母さんは乳製品は一切摂らさず、赤ちゃんには卵アレルギーも多いのを知っていたため、アレルギー検査では卵は調べていないのに卵も除去していました。

そんなことがあって、半年近く経って当院を受診されました。食物アレルギーに詳しくない医師がほとんどのため、玉虫色の決着といってもいいでしょう、こんな感じで放置されている患者さんは多いと思います。でもちょっと待って下さい。これが自分の立場だったらどうでしょうか?。お母さんは一人で悩んでおられました。

食物アレルギーの専門的な知識を持っていれば、こういうケースはそんなに難しくないのです。まず、状況的にミルクアレルギーでしょう。なぜ検査で出なかったのか?、それを考えなければなりません。

生後2~3か月までは免疫の反応が弱いので、アレルギー検査で検出されないことがあるのです。それが答えだと思います。改めてミルクを、卵も含めて検査させて頂きました。今度はミルクが陽性になると考えています。

お母さんは半年も誰にも相談できずに、苦しんでいました。3か月の時点で何もできなかったのか?。実はそうではありません。アレルギー検査では陰性でも、皮膚テストは比較的早く陽性に出ると言われています。私の予想では、この時点で皮膚テストをやれば、ミルクアレルギーを証明できたのではないかと考えています。

私がこの辺りを説明すると、お母さんは自分のお子さんのことですから、一生懸命聞いてくれて、よく理解して下さったと思います。こういう患者さんこそ、紹介して下さるべきケースだったと思います。無駄にお母さんを苦しめてしまったようで、心が痛みます。

もうひとつ「えっ?」と思ったのが、最初にかかったのがその病院だと思っていたのですが、当初は兄弟がかかっている医院に駆け込んだそうです。そこでの対応は「うちでは対応できないから、大きな病院に行って」と言われたそうです。「内科・小児科」の医院だろうと思っていましたが、れっきとした「小児科」でした。

食物アレルギーの時は抗アレルギ―薬で皮膚症状を抑え、アレルギー検査でミルクを調べればいいだけです。兄弟もそこにかかっていたそうですし、大きな病院に行く必要があったのだろうかと思っています。この時点で、当院に紹介して下さっていればと、悔やまれます。

食物アレルギーは、小児科医の間でも「分かるようで、分からない」ものだと思います。私だって分からないケースも結構あります。ただ、それで“食わず嫌い”になってもらっても困ります。時々言っている通り、分からないものは「分かりません」(「専門医に紹介します」)と正直に言ってくれれば、どれだけ患者さんが助かるかと思っています。

大抵のお母さんが当院を受診して「もっと早く来れば良かった」とおっしゃいます。それを聞く度に、私自身虚しくなります。小児科医は同業者が何の専門かは分かっていますので、スムーズに紹介するのが患者さんを助けることになるのだと思っています。

さて、新型インフルエンザの話に戻ります。

実は20日に1日遅れで、医療従事者用の新型インフルエンザのワクチンが届きました。いち早く我が子を受けさせたいと考える親御さんには大変申し訳なく思っています。ちなみに数が不足しているため、スタッフ全員の分は配分されませんでした。

経営者としては、従業員であるスタッフを病気から守らなければなりません。また、当院に来た方ならお分かりだと思いますが、私はほとんどマスクをしません。子どもが顔が見えずに怖がってしまうこともありますし、これは私の考えなのですが、患者さんに「病気をうつさないでね」って言っているようで、あまり好きではないのです。当院は普通の小児科と違って感染症が少ないので、マスクの必要性をあまり感じていません(もちろん新型や新型疑いの患者さんの診察時は着用しています)。

永年、小児科医をやっているとさまざまな菌やウィルスに暴露されていて免疫はある程度はできていると思います。しかし、新型インフルエンザの免疫はないので、「自分のことばかり考えて」なんて言われると困ってしまいますが、接種を済まさせて頂きました。患者さん達には心苦しく、申し訳なく思っています。

昨日触れましたが、11月2日に新潟県に入ってくる新型ワクチンはほんのごく一部の妊婦と慢性疾患の患者にしか接種できない程度のもののようです。「11月になれば、うちの子はぜんそくだからいち早く接種してもらえる」とお考えの方も多いのではないかと思っていますが、結構厳しいと思います。

数日前の新潟県知事の「新潟県の必要分は確保したので安心して欲しい。かかりつけの医療機関に予約した上で、順次接種して頂きたい。」というインタビューは何だったんだろう?と思っています。どこかの知事のようなパフォーマンスは必要ないのです。「当初は少なくしか提供できないが、徐々にワクチンの供給が増えてくるので、慌てずに待って欲しい」と誠意を持ってありのままを伝えるのが上に立つ者に期待されている発言ではないかと思っています。お陰で、現場は更に混乱を招きつつあります。

診察室でも「うちの子を優先して欲しい」と言われることもあります。しかし、当院に配分されるワクチンが当初は極めて少ないものになりそうです。それは他の医療機関でも同じことなのです。となると誰もが優先して接種して欲しい訳ですから、どうするか?。先の申し出に「お母さんの気持ちは分かるけれど、うちはこの子よりもっと重症のぜんそくを診ています。新型にかかれば、入院する程の大きな発作を起こすでしょう。それを分かっているのは、私なので優先すべき子を優先させて頂きます。」、そう答えています。

現時点で、上越市は新型の感染者はまだ少なく、先の説明で理解して頂いていますが、感染が拡大するにつれてパニックになるのを恐れています。そうなればなるほど、新型ワクチンの説明に時間を取られ、診察もスムーズに進まなくなると思っています。しかし、冷静でいられなくなる親御さんの気持ちも理解できます。大流行の前に、ワクチンの供給が増えて欲しい、そう願ってやみません。