ここ最近、新型インフルエンザのワクチンに関する質問が特に増えました。
もちろん真面目に答えていますが、時計をみると4~5分経っていることが多い。私は“受け流す”ことができないので、損な性格かもしれません(汗)。1日の中でかなりの時間を割いていることになると思うし、かなりの労力になっています。
皆さんもご存知のように、11月2日から基礎疾患のある方に優先的に新型ワクチンが接種されると報道されています。当院の受付にもその日から接種できるものと考えている親御さんからの問い合わせが多いようです。ただ、ここ最近触れているように、予定通りにはいかないでしょうし、実際に国や県の対応が遅れています。当院にかかりつけのぜんそくのお子さんでも11月に接種を受けられず、12月にズレ込むものと予想されます。相変わらず、新たな情報もないので予約を始められない状況です。
11月に入って各医療機関に最初に配分されるワクチンの数は極めて少ないものになりそうです。そうなった場合、当院で診ている最重症なぜんそくのお子さんを優先するのが人道的な配慮だと思っていますので、その判断は私に任せて頂くしかないと考えます。もしかしたら、他院で予約が始まってもすぐには予約が始められない可能性も考えています。正確な情報を待ちつつ、熟慮の上、対応しなければならないと思っています。
新型インフルエンザ騒動で脚光を浴びているのが、子どもの基礎疾患の有無で病状が変わることです。
「基礎疾患」とは、ぜんそくだったり、腎臓病、神経の病気、心臓の病気などを指しますが、慢性の経過を辿るので慢性疾患とも言われています。一方、風邪や胃腸炎、水ぼうそうなど急に悪くなって、あっという間に良くなってしまうものを急性疾患と言います。
一般的な小児科では、感染症をメインに扱っています。熱や咳、鼻水があればかかりつけに駆け込む親御さんもいらっしゃることでしょう。あまり熱が慢性的に続くこと言うことはないので、急性疾患の代表的な症状が「熱」と言っていいでしょう。
では「咳」はどうでしょうか?。小児科を受診する一番の理由が「発熱」で、二番目が「咳」だったと思います。風邪や風邪がこじれた気管支炎で咳が出ます。
ここ最近は、季節の変わり目で咳が出るお子さんがとても多い。季節の変わり目と言えば、寒暖の差があります。体調を崩し、風邪も引きやすいでしょう。しかし、ぜんそくが出やすい季節でもあります。
小児科医は、診療で風邪を診ることがとても多い。そういうこともあって「咳」の子どもをみれば“風邪”と診断するケースが多いと思います。あまりぜんそくを念頭に置いていないように感じています。咳は「急性疾患」でも「慢性疾患」でも起きるのです。
先日の外来で、9時から診察を始めて10数人のうちの5人が新患でした。ほとんどが小児科や近くの内科にかかっていましたが、「慢性疾患」と診断されていませんでした。この時期は咳が出やすい子が多いので、ほとんどがぜんそくが隠れていました。いや、明らかにぜんそくと診断されてるべき子もいました。
確かに「熱」をきっかけにしているケースもあります。「急性疾患」と考えるのは普通です。しかしその後、咳が長引くのです。「急性疾患」という考えが抜けきらず、だいたい「風邪が長引いている」とか「マイコプラズマ」とか言われていることが多い。「今年の5月から咳が長引いている」なんて患者さんもいましたが、9月上旬からなんて言う方もいます。
本当に2ヶ月も咳が続くのが、“風邪”や“マイコプラズマ”でしょうか?。そういった前医の診断を信じきっているお母さんに「お母さんは子どもよりも長く生きてきて、2ヶ月も咳が続いたことある?」って聞いています。「いえ、ないです」と返ってきます。「そんな“風邪”ないよねー」と言うと「確かにそうですね」となります。
そういう患者さんの過去の状況を聞いてみると、「以前も咳が長引いて、小児科に通った」とか「以前も“マイコプラズマ”と診断されて点滴に通った」と言われることが多い。私からみれば、そんなに「咳」を繰り返していれば「慢性疾患」が隠れていいるんじゃないか?と疑わなければならない状況なのに、「急性疾患」にこだわる医師が多いように感じています。地元ではマイコプラズマを半年で何回も診断されているケースは意外と多く、「そんなに繰り返す病気じゃないと思うんだけど」と言って、「慢性疾患」の存在を理解して頂いています。咳が続くたびに、「急性疾患」を考えて採血を繰り返される子どものことも考えてあげないといけないのです。
咳が止まらずに小児科に通い続けても良くならないという話はよく聞きます。いつも同じような薬が出ていたそうです。症状が長引いているのに、同じ薬を出し続けるということは、言い方は悪いですが「症状を良くしようとしていないのではないか」と思ってしまいます。症状が良くならなければ、自分の診断が間違っているのではないか?と考えて、治療を見直すべきでしょう。個人的には、ここで医師の実力の差が出ると思います。実力と言うよりは良心と言ってもいいと思います。治らなければそのまま「様子をみよう」と医師もいますが、ぜんそくが隠れていると、症状は更に悪化してしまいます。
当院はぜんそくを専門的に診ていますし、良心的に医療に取り組んでいるつもりです。治らない見込みのものを「様子をみよう」とは言わないようにしています。私のやっていることが100%正しいとは思っていません。ただ、子ども達の長引く咳を誰よりも「止めたい」と考え、自分の知識や経験を駆使して対応させて頂いているつもりでいます。
今年の秋は、咳の長引きやすいお子さんがものすごく多く、私自身も経験のないくらいです。咳が長引けば「慢性疾患」が隠れているかもしれません。受診された患者さんのほとんどの「咳」を止めているつもりですので、心配な方はご相談ください。また、新型インフルエンザにかかるとぜんそく発作の起こしやすい子は悪化することが予想されます。流行前に症状のコントロールをしておきたいところです。お子さんのためにも是非ご相談いただきたいと思っています。


