新型インフルエンザについて、ようやく動きがありました。
28日(水)の診療時間内には何の連絡もなかったのですが、夜になって医院に行ってみるとファックスが届いていました。
内容としては2つあり、一つ目は新潟県が今回の新型インフルエンザの予防接種を受託した医療機関を公表するのが30日になるのだそうです。県内1400施設ですから、ほとんどが手を挙げていると思われます。
二つ目が「やっとかよっ!」と言いたいのですが、具体的なワクチンの本数です。ようやく当院に示された訳です。何人分になるかは接種する年齢によります。もともとワクチンは1本で1ml入っていますが、例えば5本で5mlあるとすると、大人なら1回が0.5ml使いますから10人分、幼児なら1回0.2mlですから25人分となります。
私はニュースは観ていませんでしたが、今回優先される基礎疾患を持つ子どもと大人、妊婦は県内で19万人いるそうですが、そのうち2.5万回分だけしか確保できていないという報道がなされたようです。2回接種することを考えると1万2500人分と言った方が正確でしょうか。とりあえず一回でも打つことを考えると、今回の対象者の13%しか接種できないことになります。それくらい少ないのです。
県内でも急速に休校、学級閉鎖をする学校が増加しており、誰でも我先にとお思いでしょう。しかし、待ちに待った新型ワクチンが当初は10分の1しかないのです。現場の混乱は不可避でしょう。
当院はぜんそくのお子さんを大勢診ています。いつも言っている通り、今回の配分されたワクチンでは、当院で診ている患者さんさんのごく一部でしかありません。26日にも書いた通り、よーいドンで電話予約を始めて、私が最も心配している呼吸困難を起こしやすい小さい子が後回しになってしまったら、それは人道上問題はあるでしょうし、そもそも国の重症者を減らすという方針に反します。
となると、私が当院における優先順位を決めさせて頂くしかありません。県内で子どものぜんそくを本格的に専門的に診ている小児科医は数人しかいません。私も専門施設で学ばせて頂いた者として、「この子がインフルエンザにかかったら、まずいな」というのは分かります。
当院は上越ではぜんそくのお子さんはトップクラスに大勢診ていると思います。今は発作を起こしやすい秋ですし、普通に考えると、当院の患者さんが重い発作を起こして入院したり、点滴になる可能性が高いはずですが、今のところ軽い発作の方はおりますが、病院に入院したり、外来で点滴している子もいません。これは何故かと言うと、ぜんそくの専門的知識があれば、発作を起こしやすい子を見極めることができます。つまり、新型インフルエンザにかかって重症化するであろうお子さんをあらかじめピックアップできるということです。
そういうお子さんは、ぜんそく自体が軽くないので、継続的に治療していますし、オノンやシングレアなどの抗アレルギー薬だけではコントロールできず、その上の治療、つまり吸入ステロイドを使用している患者さんがほとんどです。その吸入ステロイドも「フルタイド」という薬を吸入補助具を使って連用して頂いていますが、乳幼児の場合は上手に吸入できないため、高価な吸入器を買って頂いて「パルミコート」という薬で治療しています。これは専門医の間では重症なぜんそくの乳幼児に使用する薬です。
個人的には、この「パルミコート」を連用しているお子さんを最優先させて頂こうと思っています。当院では数十人になります。中には、もう少しで「パルミコート」を始めようかと思っているお子さんもいます。この辺は、私がぜんそくのプロであることを信用して頂いてリストアップし、当院の中でも最優先で接種させて頂こうと思っています。このお子さん達は今回当院に供給されるワクチンの中から接種できると思っています。
26日も書いたと思いますが、「フルタイド」、「アドエア」、「キュバール」を毎日吸入しているその次に重症な子どもたちを優先させて頂きたいと思っています。当院は数百人いるはずです。となると、今回当院に分配されるワクチンでは到底足りません。つまり、11月上旬に接種できる患者さんとできない患者さんに分かれてしまいます。小学生、中学生で吸入ステロイドを継続して頂いているお子さんで、かなり発作を起こしやすい方はほとんどいないと思いますので、今の私の考えでは、常識的に「低年齢=弱い」と考えて「フルタイド」を吸入している幼稚園•保育園児に優先して接種を行わざるを得ないと考えています。それでも今回当院に供給されるワクチンではまかない切れません。
ちなみにワクチンの供給は2週間に1回のようです。どの親御さんも早く我が子のために2回分の予約を済ませたいとお考えでしょうが、徐々にワクチンの供給が増えていくものと思われます。手元のデータでは今回の次に入っているのは11月中旬ころと思いますが、新潟県には2.5倍に増えるようです。季節性ワクチンのように不足することは考えにくいので、まず新型ワクチンを1回受けて頂くことを考えたいと思います。
当院で診ている患者さんに打てる打てないを決めるのは、簡単なことではありません。正直、心苦しい部分が大きいのです。親御さんの気持ちも分かってはいますが、私がリーダーシップを持って対応しなければ、なおさら混乱を招くことになります。
昨日の文章は、今年の季節性ワクチンについて反省しつつ書いたものですが、その経験に基づき、より注目度の高い新型ワクチンの予約を考えながら行っていきたいと考えています。
上越市内の患者さんはなるべく当院でと思っています。当院の場合は、上越市外から受診されている方も多いので、なるべく「優先接種対象者証明書」を書こうと思っています。他の医療機関で接種して頂くことになるでしょうが、そりゃ医師の側からすれば、自分の医院にかかりつけの患者さんを優先したくなるものでしょう。各医療機関の都合もあるでしょうし、11月上旬から打ってもらえるものかは分かりません。地元の医療機関で予約を取った上で、「優先接種対象者証明書」をもらいにきて頂いた方がいいのかなと思っています。
市内の方は、予約の方法をじっくり考えないといけません。今の考えでは、吸入ステロイドを連用している幼稚園•保育園児の接種を進めたいと思っています。電話予約だと受付では重症度まで分かりませんし、受診して頂いて診察室で決めるのが一番だと思います。なるべく公平にするためには、「○○日のから受診し、診察を受けた患者さんから順次決めていく」というスタイルがいいのかもしれませんが、今回国や県の対応がスムーズとは言い難いので、準備期間がなさ過ぎます。
時間はありませんが、その中でスタッフと知恵を出し合いながら対応を考えていきたいと思っています。ホームページで今後の動向を注目して頂きたいと思っています。


