当院での新型インフルエンザのワクチンの方針を決定したことは昨日お話ししました。
国が優先順位を決めていますが、当院でも多くの患者さんの中から重症者を出さないために、当院の中での“優先順位”も必要だと判断させて頂きました。少なくとも当院から重症者を出したくはないと思っています。
また、当院は診療の合間に季節性インフルエンザのワクチンも日々行っていますが、これに関して明日お知らせをするつもりでいます。
上越以外では、新型インフルエンザがかなり流行しており、小児科医達は連日多忙を極めているようです。そして、ここ上越でも最近は診療の中で新型インフルエンザがパラパラと混じるようになりました。「いよいよか」とも思います。
普通なら、看護婦さんにインフルエンザの検査をしてもらって陽性なら、それは新型インフルエンザを意味していると思いますが、「タミフルを出しておきますから、様子を見て下さい。」って感じであっという間に診察が終わるのだろうと思います。
当院は、ぜんそくの患者さんが多いのです。基礎疾患がある子は、新型にかかると悪化することは広く知られてきたので、お母さんに不安を取り除く努力もしているつもりです。その辺のアドバイスも欠かせません。
また、ぜんそくがあるとアトピーも合併していることが少なくなく、「ぜんそくの薬を出していたので、1ヶ月後にまた診せてね」と言うと、「そうそう、最近この辺がカサカサしてきちゃって」と皮膚の話になったり、それこそ「新型インフルエンザのワクチンはどうなっていますか」なんて聞かれたりと、診察がなかなか終わりません。頼られると、「オレが何とかしなきゃ」と思うし、私の目指す医療は“良心的”な医療なので、最後までつき合っています。
巷では、「話もろくに聞けないまま診察があっという間に終わってしまった」なんてよく聞きます。子どもの関わる科はだいたい速いのではないでしょうか?。小児科しかり、皮膚科、耳鼻科、みんなあっという間ですよね。
ここだけの話ですが、スピード重視の方針が好ましくない結果を生んでいるように思えてなりません。ある小児科医に行って、お母さんは水ぶくれが体の他に頭皮にも出ており、素人ながら「水ぼうそうだろう」と思っていましたが、パッと見で「虫さされ」と診断され、ステロイドが処方されたそうです。診断も違うし、治療も効果はありません。余りの診察の速さに、お母さんは何も言えなかったそうです。
体の一部に湿疹があり、皮膚科に行ったところ即座に「水イボ」と診断され、何故かステロイドが出されたそうです。当院のスタッフが見ても水イボでないのは明らかで、水イボの治療としてステロイドは推奨されていないと思います。
また中耳炎を繰り返しているお子さんが、熱が出たので耳鼻科に行ったら「中耳炎ではない」と診断されたので、「じゃあ、ほかの所からの熱だろう」と考え、耳鼻科の帰りに当院を受診したら、鼓膜が真っ赤っかで間違いなく中耳炎でした。耳鼻科の先生は何を診ていたのだろう?と思わざるを得ませんでした。
これは実際の開業医の対応です。たまたま見落としただけなのかもしれませんが、開業医は病院に比べ、敷居が低く受診しやすいと思います。軽い病気を診るのが開業医、重い病気を診るのが病院という役割分担があるはずですが、こんな各科における基本的な診療でミスがあるようならかなり問題でしょう。当たり前のことですが、診断が正しいのが大前提で、スピードを上げるべきなんですよね。
先日、N市からアトピーの患者さんが受診されました。本来なら小児科より皮膚科の方がアトピー性皮膚炎の治療は上手なはずです。地元では評判の皮膚科でしたが、小児科の私が見ても皮膚症状に見合った薬の選択とは思えませんでした。何度通っても、同じ薬が出るばかり。症状が良くなっていないのに、同じ薬を出すのは「良くなって欲しくない」と考えているとしか思えません。いろいろ質問したくても、看護婦が「他にも患者さんが待っているので」と退室を促してくるのだそうです。
真面目に診療に取り組んでいる医師も少なくないと信じたいのですが、結構人気がある開業医でこんなことが繰り返されているのかなと思うと、私も不安になります。上越で開業して2年を過ぎましたが、子どもに関わる科の医師達がどんなスタンスで診療に取り組んでいるのかがだいたい分かってきました。敢えて言わせて頂くと、「この医師は何を目指しているのだろう?」と思ってしまうこともあります。医師はプライドを持って診療に当たるべきでしょう。「この人、プライドってあるのかな?」と思わざるを得ないことすらあります。往々にしてスピード重視の医療をされています。
患者さんは、病気の苦痛から逃れたいと思います。小児科の場合は、子どもが病気の症状で苦しめられ、親はそれを心配し、何とかしたいと思い医院に向かいます。待ち時間は短い方がいいので、スピーディに診察することは大切であることは否定しませんが、診断を間違えば治療も間違うのです。それでは元も子もありません。親御さんが望むものは、待ち時間の短さではなく、「病気が治ること」が一番なのは明らかです。何を優先すべきかは、医院の方針にも依るのだと思います。
私だって間違うこともあります。小さいものも含めれば、それなりの頻度と言っていいかもしれません(汗)。そもそも、間違いを犯さない医師はいないでしょう。間違いを減らす努力をするのが開業医の役目ではないのかと思っています。間違った判断をした場合、次回同じミスをしないように修正する必要が出てきますが、スピード重視のために、自分が間違ったことに気づいていない医師も少なくないと思っています。
全ての医師が経営を優先しているとは思いませんが、それは当院にとっても無視できません。日本はとにかく頭数を診れば経営に有利に働くシステムになっています。予防接種患者を多く集めようとしたり、昨日のように“営業”して患者を集める開業医もいます。多く診るために、スピード偏重の姿勢が医療を歪ませているように思えてなりません。
当院にアレルギーで困り果てた患者さんがよく受診されます。正確に診断して、的確に治療するとあっという間に症状は改善します。当院は待ち時間が長いので、それは申し訳なく思っていますが、実力は治療結果で示そうと思っています。最近は、あれだけ良くならなかった症状がじきに良くなってしまうと「医師の間にも実力の差があることが分かったでしょ」と言うこともあります。
患者さん達もよく考えながら、医療を受ける必要があるのではないかと思っています。


