今月の4日から季節性インフルエンザのワクチンの予約を再開させて頂きました。
いつもよりも電話の鳴る頻度が明らかに多いと感じています。対応はスタッフに任せているのですが、予約状況を見てみるとちょっとビックリです。当院を受診したことのないお子さんがとても多いのです。
当院は予防接種の時になるべく泣かせないように努力しています。「子どもは泣いて当たり前」なんて思ってはいません。当院かかりつけで、当院で受けられなかった方々には申し訳ないのですが、当院のやり方をよく知ってもらういい機会だと思っています。流れ作業的にやっているところもあるようですが、あくまで「小児科」は子どもが主役ですから、泣かせない努力は必要だと思っています。
新型インフルエンザについても、相変わらず診察室で質問を受けます。ただ、ホームページで最新情報を日々公開しているのと、院内掲示でもお知らせしているので、思ったより多くないように思います。情報が遅延し、混乱する中、なるべく患者さん達に情報を公平に共有するには良い方法ではないかと考えています。
最近、対応に困ってしまうのが、兄弟の一方が当院での最優先される患者で、他方が優先されない場合です。親御さんとしてみれば、一緒に済ませたいとお思いでしょう。申し訳ないと思いつつ、それでもお断りしています。そうしなければ、“公平”にならないと思うからです。いつも言っている通り、筋を通したいと思っています。
さて、数日前のネットニュースに「RSウィルスに御用心」というタイトルの記事が出ていました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091027-00000061-san-soci
記事を読んで頂ければ分かると思いますが、このRSウィルスにはインフルエンザに対するタミフルのように特効薬がありません。早産児は重症化する可能性が高いと書かれていますが、早産児だけでなく、普通の乳幼児でもゼーゼー言って、呼吸困難が強くなり、入院するリスクは高まります。しかも、嫌らしいことに、かかって治った後もぜんそくのような症状を10年以上も繰り返しやすくなります。ある意味で、インフルエンザよりたちが悪いと思っています。是非、親御さんには知っておいて頂きたい感染症です。
問題なのは、記事の後半に書かれていますが、それだけ危険なウィルスにもかかわらず、親御さんの3割しか知らないということです。
私は、その責任の一端は医師にあると思っています。どういうことかと言いますと、医師が疑っても調べないことが多いからです。これは以前も触れたのですが、開業医でも、インフルエンザと同じやり方で鼻水を使って簡単に調べることができます。ほんの15分もあればチェックできるのです。しかし、保健診療上の決まりがあって、入院患者のみ検査が認められています。つまり、開業医で調べると検査代は医院の負担になります。
今は各医院が患者さんに参考にしてもらおうと、ホームページなどで感染症情報を流したりしています。この感染症を実数で表示している医院もありますが、RSウィルスがずっと0になっています。周囲で流行があってもです。それは“調べていない”だけだと思います。
呼吸状態が悪ければ入院する可能性が高いウィルスなので、病院に紹介するためにもRSウィルスが原因かどうかを明らかにする必要があるのです。検査して損するかどうかというレベルの問題ではないはずです。当院では呼吸器にもこだわっていますし、真実を明らかにするために検査をしています。自腹を切っても、患者さんがゼーゼーする理由を解明しようと思っています。こんな点でも医院の方針の違いが見て取れるのだと思います。
現実的には、医師の実力や医院の都合でRSウィルスが検査されたり、されなかったりしているのです。それっておかしいことだと思いませんか?。RSウィルスを患者さんが知る機会も減るはずです。乳幼児を持つ親御さんにとってRSウィルスの正しい知識を持って頂きたいし、感染症情報を出す小児科医は、自腹を切ってでも正しい流行状況を公表すべきだと思っています。
先日、咳が止まらないと初めて当院を受診された患者さんがいました。咳が出始めると“風邪”と診断されて、咳が長引くと“気管支炎”や“マイコプラズマ”と診断されていたそうです。これまで何度もマイコプラズマと診断されていました。私はマイコプラズマは短期間で何度も繰り返さない病気だと認識しています。
その患者さんは、治療しても咳は止まらなかったそうです。マイコプラズマにはそれ用の抗生剤がありますから、治療すれば改善するはずなのです。咳の止まらない理由として、ぜんそくと診断されました。そして治療したら咳は数日で止まりました。つまり、繰り返す咳は“マイコプラズマ”ではなかったのです。
当院には、そういう患者さんさんが多く受診されています。よく幼稚園で「マイコプラズマが流行っている」とおっしゃるお母さんがいらっしゃいますが、こんな感じで診断されているのだとしたら、その情報の信憑性はどうなのだろうと思ってしまいます。
ここ近辺では、RSは過小に、マイコプラズマは過剰に診断されている可能性があるのです。感染症情報って何なのだろう?と思ってしまいます。親御さんは感染症に敏感です。となると小児科医の責任は重大です。
当院では1ヶ月より前にひとりRSウィルスの患者さんを確認しています。しかし、その後も疑わしいお子さんを調べていますが、陰性でした。先ほどのネットニュースに書いてある通り12月から1月にピークを迎えることが予想されています。流行はこれからなのです。
新型インフルエンザも脅威ですが、「乳幼児が同じくらい注意をしなければならない」病気なのです。親御さんにはRSウィルスに関しても正しい認識を持って頂きたいと思いますし、そのためには小児科医が損得に関係なく正しい情報を発信しなければならないのだと思っています。


