小児科 すこやかアレルギークリニック

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過小と過剰
2009年11月09日 更新

当院は、2年2ヶ月前に“地盤”も何も持たずに上越市で開業させて頂きました。

前勤務地は40キロ離れた柏崎市にありましたので、柏崎市で開業すれば地盤がありますので、すぐにそれなりに多くの患者さんが受診して下さったのだと思います。下越や中越には長年ぜんそく専門としてやってこられた先生がいらっしゃり、上越はそうでなかったため、地盤がないにもかかわらず上越の地を選んだといういきさつがあります。

大きな借り入れをしての船出でしたので、もちろん不安がありました。柏崎から上越までどれだけ患者さんが来てくれるのかと思っていました。柏崎市にいるうちから、上越から患者さんが来て下さっていましたので、それだけが心の支えでした。柏崎からいまだに通って下さっている方は何十人かはいらっしゃいます。今はぜんそく患者さんだと重い子から軽い子まで含めると1000人以上は診ているのではないでしょうか?。この2年あまりの期間で、地元も含め大勢の親御さんから徐々に、そして確実に信頼を頂いているのかなと思っています。

アトピーなのに皮膚科にかかっていても、乳児湿疹や乾燥肌と診断されていることが多いと時々言っていますが、ぜんそくも同様です。もちろん、ぜんそくと診断されているケースもありますが、そうでない場合も少なくありません。ぜんそくの診断基準に照らし合わせて、基準を満たしていれば「ぜんそくです。継続して治療する必要があります。」と一人一人に時間をかけて説明を繰り返してきました。

過小診断されていれば、病状に合った治療が選択されないため、なかなか症状は改善しません。当然と言えば当然です。症状を改善させなければ意味がありませんので、過小治療は避けなければなりません。

ぜんそくは、慢性的な咳に悩まされる病気です。咳を繰り返す度に“感染症”と考えられて、「風邪」や「気管支炎」、「マイコプラズマ」などと診断されているケースは少なくないのです。「ぜんそく性気管支炎」と診断されているケースも多いのですが、専門医からみると既にぜんそくと診断されなければならない場合も結構見かけます。

全国的にそうなのですが、ぜんそくの重めのお子さんには吸入ステロイドが処方されるべきなのに、処方されない傾向にあります。上越もそうでした。しかし、最近は処方されるケースが少しずつ増えているように思います。

ただし、フルタイドという吸入ステロイドが処方されているにもかかわらず、ぜんそくと診断されていないケースも見かけます。フルタイドは重症なぜんそく患者さんに処方されるべき薬なのです。「ぜんそくにならないように続けるように」と説明されているお子さんもいますが、ちょっと違うと思います。今の医学では、“ぜんそくにならなくする”ことは不可能だと思います。

先日受診されたお子さんは、ある小児科でキプレスかオノンという抗アレルギー薬が処方されていました。決して軽くないのに、症状が軽くなると親御さんの判断で薬を中断していたそうです。何度か繰り返していたら、今度はフルタイドが処方されたそうです。私が主治医なら、抗アレルギー薬は効いていたそうですから、治療を継続する必要性を十分説明し、抗アレルギー薬から治療するように勧めたと思います。

私のよく言う「ガイドライン」でも低年齢のお子さんは、抗アレルギー薬から使うことを推奨しています。確かに、フルタイドは効くでしょうが、この場合は治療は過剰かな?と思います。やはり「ガイドライン」に基づいた治療をした方がいいと思うのです。

吸入ステロイドは、大人では「これしかないでしょ」というくらいの治療法ですが、子どもの場合は特効薬とは言い切れません。海外の論文では、症状は軽くするが止めると悪化するという報告もあります。この辺も理解した上で、必要なお子さんに使わなければなりません。

ぜんそくの医療は、独特なものがあります。風邪や胃腸炎、水ぼうそうなどは病気にかかったら受診してもらい、良くなれば治療は終わります。しかし、ぜんそくは重いお子さんの場合、予防が必要なので定期通院して頂きます。1ヶ月ごとに受診している場合は、この1ヶ月間にぜんそく症状がなかったかどうか聞き出し、注意点があればキチンとアドバイスします。何と言っても治療を継続する必要性を理解して頂くことが大事です。子どもをかまったりして、子ども達に次回も気持ちよく来てもらうようする雰囲気作りも大切だと思っています。

当院では、ぜんそくの治療として点滴はしないと時々言っています。秋になるとほとんどの小児科では、発作を起こしたお子さんに点滴をしていると思います。入院を必要とするお子さんもいることでしょう。しかし、当院は点滴は1年以上していません。入院もまずありません。軽い子ばかり診ているかと思われるかもしれませんが、他院で入退院を繰り返していたお子さんも当院で管理しています。

東京の大学病院の先生が学会で「私が赴任してからぜんそくの入院はほどんどなくなりました」と言っているのを聞いたことがあります。一部の最重症なお子さんを除けば、適切な治療をすることで入院は避けることができます。発作を起こさなくなるので、点滴さえも必要なくなることが多いのです。専門家が適切に治療すれば、発作はかなり抑えられる時代になったのです。

当院も開院当初は、重い発作を起こしたお子さんが初診されたりして、入院治療が避けられないケースはありましたが、ここ最近は本当に点滴さえもする必要がないくらい当院かかりつけのほとんどの患者さんがかなり安定した状態です。点滴を繰り返しているお子さんは、是非ご相談頂きたいと思っています。

ただし、一部のお子さんですが、ゼーゼー言いやすい乳幼児の治療には苦戦しています。こういったお子さんに新型インフルエンザのワクチンを最優先にしたいと思っているのです。

11月2日からぜんそくを持つなどの慢性疾患のあるお子さんを対象に第一弾の新型ワクチンが供給されました。それは当院にも届いています。年齢により幅がありますが、数十人分に値します。第二弾を待ち遠しいと思っているのですが、ある医院のホームページを見てみると、第二弾以降も医院への具体的な配分される本数が記載されています。当院には何の連絡もなく、どうしてだろうと不思議に思います。知るルートでもあるのでしょうか?。ワクチンの情報も公平にして頂きたいと思っています。

当院は重症なぜんそくのお子さんが多く、第一弾の分でもフルタイドなどの重症な治療をやっているお子さんの中で、小学生や中学生には接種することができません。かろうじて園児に打てる程度です。国や県はぜんそく児を優先すると宣言している訳ですから、アレルギー専門医のところに重症患者さんが集まりますので、傾斜配分するなどの対応をして欲しいし、先の情報についても公平性を持って対応すべきではないかと思っています。

当院は新たな情報が分かったら、この場で公開するスタンスを取っています。かかりつけの患者さん達になるべく公平に対応したいと考えるからです。今後もこの方式は継続していきたいと思います。と同時に過小でも過剰でもない「ガイドライン」通りの治療を広めていかなければならないと思っています。